アントーン・ハックル

アントーン・ハックル：ドイツのエースパイロット

アントーン・ハックル（独: Anton "Toni" Hackl、1915年3月25日 - 1984年7月10日）は、第二次世界大戦中のドイツ国防軍空軍に所属した著名な軍人であり、エース・パイロットとして数々の戦果を上げたことで知られています。彼は、最終的には空軍において少佐の階級に達し、数々の戦闘での功績から柏葉・剣付騎士鉄十字章を受章したことでも知られています。

初期の生涯と軍歴

ハックルは、1915年にバイエルン王国のレーゲンスブルクに生まれました。彼の軍人としてのキャリアは、第二次世界大戦の勃発時に始まります。当初、彼はドイツ空軍第77戦闘航空団（JG77）第II飛行隊に伍長として配属され、1940年のノルウェー派遣中にはイギリス空軍の爆撃機ハドソンを2機撃墜するなど、早くも初戦果を挙げました。ノルウェーでの任務中、彼は合計4回の空中戦に勝利し、戦闘経験を重ねていきました。

戦果を挙げるエース・パイロットとしての活躍

1941年には、独ソ戦の本格的な戦闘に参戦し、彼はその年の終わりまでに27機を撃墜しました。1942年に入ると、彼はJG77の第5中隊中隊長に任命され、春までに撃墜数が急増します。特に1942年の5月には総撃墜数が51機に達し、騎士鉄十字章を受章する栄誉に輝きます。その後も彼の活躍は続き、7月にはヴォロネジ付近でさらに37機を撃墜。これにより、彼は総撃墜数100機を突破し、柏葉付騎士鉄十字章を獲得しました。

ハックルの戦績はその後も伸び続け、9月には総撃墜数118機に達します。JG77はチュニジアに転戦し、そこでも彼は6機を撃墜するなど、空軍のエースとして名を馳せました。しかし、1943年2月には戦闘機P-38との遭遇で重傷を負い、数ヶ月の入院を余儀なくされます。

戦況激化とさらなる栄光

1943年9月に復帰したハックルは、今度は第11戦闘航空団（JG11）第III飛行隊に転属し、ドイツ防衛に携わることになります。捕虜にされることなく、彼は任務を全うし、配属された部隊で25機を撃墜しました。1944年4月にはアメリカ陸軍航空軍の戦闘機P-47と交戦し、再び重傷を負いましたが、持ち前の勇気で復活。7月には柏葉・剣付騎士鉄十字章を受章し、その後、第76戦闘航空団（JG76）司令に就任します。

10月8日、彼は165機もの撃墜を記録し、第26戦闘航空団（JG26）第II飛行隊長に就任。1944年末までに彼の総撃墜数は172機に達しました。そして1945年2月には、第300戦闘航空団（JG300）の正式な司令に昇格し、さらなる戦果を期待されました。

戦争終結と晩年

総出撃回数は約1000回、そして撃墜数は192機（非公式記録24機を含む）に達したことが、彼のエースとしての地位を確立しました。撃墜された機体の内訳は、131機が独ソ戦、6機がアフリカ戦線、55機が西部戦線によるもので、各戦闘航空団での成績も残されています。ハックル自身8回撃墜された経験もあり、4回は負傷を伴いました。

1984年7月10日、ハックルは母国のレーゲンスブルクで生涯を閉じました。彼の軍人としての偉業と栄誉は、今でも多くの人々に語り継がれています。

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