アンドリッツ

アンドリッツ：グローバル産業機器メーカーの歩み

アンドリッツ（Andritz AG）は、オーストリア・グラーツに本社を置く、世界的な産業機器メーカーです。紙パルプ、水力発電（ハイドロ）、鉄鋼、固液分離といった多岐にわたる分野で、高度な技術と革新的な製品を提供しています。ウィーン証券取引所に上場しており、世界40カ国以上に拠点を展開するグローバル企業として、その名を知られています。

1852年から続く歴史：鉄から世界へ

アンドリッツの歴史は、1852年、グラーツ郊外のアンドリッツ地区で設立された鉄の鋳造所にまで遡ります。ハンガリー出身の起業家Josef Körösiによって創業されたこの鋳造所は、その後、クレーン、ポンプ、蒸気ボイラーといった製品へと事業を拡大しました。20世紀前半の世界大戦や世界恐慌といった困難な時代には生産停止を余儀なくされることもありましたが、戦後にはスイスのエッシャーウイスとの技術提携を通じて、水力タービン、遠心ポンプ、クレーン、鋼板製造といった分野に事業を集中。1951年には、現在の中核事業となる紙パルプ関連産業機器の製造にも着手しました。

1980年代初頭の第2次オイルショックにおいても、オーストリア政府からの支援と積極的な合理化によって危機を乗り越え、1987年以降はカーライル・グループなどの海外投資会社の資本を受け入れながら成長を続けました。そして2001年、ウィーン証券取引所への株式公開を果たし、新たなステージへと進みます。

1990年のSprout Bauer Inc（アメリカ・ペンシルバニア州）買収を皮切りに、積極的な企業買収戦略を展開。2013年にはドイツのプレス機器メーカーであるシューラーグループを買収するなど、規模を拡大し、事業領域を広げていきました。現在では、紙パルプ関連がグループ全体の売上高において最大を占め、鉄鋼および水力発電分野がそれに続きます。売上地域構成比としては、中国を含むアジアが約3分の1、ヨーロッパおよび北米がそれぞれ3割弱となっています。

日本における事業展開

アンドリッツは日本市場においても重要な役割を果たしています。「アンドリッツ株式会社」（Andritz K.K.）と「アンドリッツ・ファブリック＆ロール株式会社」の2つの法人を擁し、事業を展開しています。

アンドリッツ株式会社は、主に紙パルプ生産工程に関わる機器の販売とアフターサービスを提供しています。さらに、近年ではバイオマス発電機器の提供にも注力しています。東京（晴海アイランドトリトンスクエア）に本社オフィスを構え、神戸市にも事業所を置いています。一方、アンドリッツ・ファブリック＆ロール株式会社は、抄紙機で使用されるファブリックやフェルトなどの製造に特化しており、茨城県鉾田市に工場を有しています。

アンドリッツは、長年にわたる技術革新とグローバルな事業展開を通じて、世界中の産業の発展に貢献し続けています。今後も、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化し、さらなる成長を目指していくことでしょう。

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