アンドリュー・ビタビ

アンドリュー・ジェームズ・ビタビ

アンドリュー・ジェームズ・ビタビ（Andrew James Viterbi、1935年3月9日 - ）は、イタリア出身のアメリカ人電気工学者、実業家であり、デジタル通信分野における先駆者です。特に、ビタビアルゴリズムの発明者として広く知られており、その業績は現代の通信技術に不可欠なものとなっています。

生い立ちと教育

ビタビは、イタリアのベルガモでユダヤ人の両親のもとに生まれました。1939年、一家は難民としてアメリカ合衆国に移住。ビタビの本来の名前はアンドレア（Andrea）でしたが、英語圏では女性の名前と認識されることが多いため、帰化の際に両親によってアンドリュー（Andrew）に変更されました。ボストン・ラテン・スクールで学んだ後、1952年にマサチューセッツ工科大学（MIT）に進学し、電気工学を専攻。当時、MITにはクロード・シャノン、ノーバート・ウィーナー、ロバート・ファーノ、ブルーノ・ロッシといった著名な教員が在籍しており、ビタビは恵まれた環境で学びました。

1957年にMITで修士号を取得した後、南カリフォルニア大学でデジタル通信の研究に取り組み、博士号を取得しました。

研究と発明

その後、ビタビはカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）とカリフォルニア大学サンディエゴ校（UCSD）で電気工学の教授を務めました。1967年には、畳み込み符号の復号手法として画期的なビタビアルゴリズムを発明しました。このアルゴリズムは、携帯電話の誤り検出訂正、音声認識、DNA鑑定、隠れマルコフモデルを応用した様々な分野で広く利用されており、現代の情報通信技術に欠かせない存在となっています。ビタビは、法律家の助言に従い、このアルゴリズムの特許を取得しませんでした。

ビタビはまた、携帯電話ネットワークのCDMA規格の策定にも深く関わりました。

実業家としての活動

1968年、ビタビはアーウィン・M・ジェイコブスと共に、小規模な軍需企業であるLinkabit社を設立しました。さらに1985年には、同じくジェイコブスと共同でクアルコムを設立。クアルコムは、現在では世界的な通信技術企業へと成長しています。2003年には、ベンチャーキャピタルのThe Viterbi Groupの会長に就任しました。

2000年には、フォーブス400において、アメリカの富豪ランキングで386位にランクインしました（推定資産は6億4000万ドル）。

社会貢献と名誉

ビタビは、教育と研究への貢献も積極的に行っています。2002年には、母校であるボストン・ラテン・スクールに「Andrew Viterbi '52 Computer Center」を献呈しました。また、2004年3月2日には、南カリフォルニア大学工学部が、ビタビからの5200万ドルの寄付を記念して、「Viterbi School of Engineering」と改称されました。ビタビ自身も同大学の評議会委員を務めています。

私生活

ビタビは、エルナ・フィンチと結婚し、3人の子供をもうけています。

主な著作

Andrew J. Viterbi and Jim K. Omura (1979). Principles of Digital Communication and Coding (Communications and Information Theory). ISBN 978-0070675162
Robert E. Kalman, G. I. Marchuk, A. E. Ruberti, and Andrew J. Viterbi (1987). Recent Advances in Communication and Control Theory (Series in Communication and Control Systems). ISBN 978-0911575460

主な受賞歴

1991年 - クロード・E・シャノン賞
1992年 - C&C賞
2005年 - ベンジャミン・フランクリン・メダル
2007年 - アメリカ国家科学賞工学賞
2008年 - ミレニアム技術賞
2010年 - IEEE栄誉賞
2011年 - ジョン・フリッツ・メダル
2013年 - 全米発明家殿堂選出
2016年 - チャールズ・スターク・ドレイパー賞

外部リンク

IEEE History Center Interview in HTML
The Quiet Genius, Trudy E. Bell (PDF)
Noteworthy alumni page at MIT

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