アンドロス島 (ギリシャ)

アンドロス島：エーゲ海の秘宝

アンドロス島は、ギリシャのエーゲ海に浮かぶキクラデス諸島最北端に位置する島です。キクラデス諸島の中では2番目に大きな島であり、約9000人の人々が暮らしています。島の地形は北西から南東にかけて細長く、長さは約40km、幅は最大で16kmに及びます。そのほとんどが山地で占められており、豊かな自然が残っています。

地理と集落

アンドロス島は、北東約10kmにエヴィア島、南方2kmにティノス島が位置しています。島の主要な集落としては、以下のものがあります。

アンドロス（1,508人）：島最大の集落で、東岸中部の入り江に面しています。
ガヴリオ（932人）：島の玄関口となる港がある、西岸北部の集落です。
バツィ（924人）：ガヴリオの南に位置する海辺の集落です。
オルモス・コルティウ（756人）：南部の中心集落で、東岸に位置しています。

また、中部西岸には、急斜面に築かれた古代の中心地、パレオポリがあります。ここでは、水面下に港の防波堤の遺跡を見ることができます。島の西岸北部にあるガヴリオは、アンドロス島への主要な港として機能しています。

歴史

古代

古代にはイオニア人が入植し、トラキア人の血も受け継いだと考えられています。当初はエレトリアに従属していましたが、紀元前7世紀にはハルキディキに植民市を築くほどに発展しました。パレオポリは当時の中心地であり、ディオニュソスを祀る寺院がありました。

ペルシャ戦争ではペルシャ側に付きましたが、後にギリシャ艦隊によって苦しめられました。デロス同盟に加盟した後もアテナイへの不満を抱き続け、政治的独立性を失うクレルキーの設立を強いられました。その後、一時的に自由を宣言し、アテナイの攻撃を耐え抜きましたが、再びアテナイの支配下に戻りました。

ヘレニズム時代には、マケドニア王国とプトレマイオス朝エジプトの抗争の舞台となりました。マケドニアとエジプトによる支配が交錯した後、最終的にローマ共和国によって占領され、ペルガモン王国の領土となりました。

中世・近世

1207年から1566年までヴェネツィア共和国の保護下に置かれ、群島公国の一部となりました。その後、オスマン帝国の支配下に入りました。

近代

1821年、アンドロス島出身のテオフィロス・カイリスがギリシャ独立戦争を宣言しました。彼の演説はギリシャの船主や商人たちを動かし、ギリシア海軍の設立に大きく貢献しました。

社会

1900年には島全体で1万8000人が暮らしており、中心集落のアンドロスは約2,000人の人口を擁していました。また、島にはアルヴァニテス人の小規模なコミュニティも存在します。彼らは中世以降にギリシャに移住した人々で、アルバニア語の方言を話します。

行政区画

アンドロス島はアンドロス県に属し、アンドロス市という一つの自治体によって構成されています。2011年のカリクラティス改革によって、旧アンドロス市、コルティオ市、イドルサ市の3自治体が合併し、現在のアンドロス市となりました。旧自治体は、現在では行政区として機能しています。

交通

島の主要な港は、西岸北部のガヴリオにあります。ここから他の島や本土への船便が発着しています。

著名な出身者

アンドロス島は、以下のような著名な人物を輩出しています。

テオフィロス・カイリス（1784-1853）：宗教家・革命家。
アンドレアス・エンビリコス（1901-1975）：詩人。
ギオルゴス・レオナルドス（1937-）：作家。
ニキタス・カクラマニス（1946-）：医師・政治家。

アンドロス島は、豊かな自然と歴史、そして文化が調和した美しい島です。訪れる人々に、忘れられない体験と感動を与え続けています。

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