エヴィア島

エヴィア島（Εύβοια / Évvoia, Évia）とは

ギリシャの東方、エーゲ海西部に位置するエヴィア島は、クレタ[[島]]に次いでギリシャで二番目に大きな島です。古代ギリシア時代にはエウボイア島（Εὔβοια / Eúboia）として知られていました。島の中心都市であるハルキダ（カルキス）付近では、2本の橋がギリシャ本土と島を結んでいます。エヴィア島は周辺の島々と共にエヴィア県を構成しています。

名称の変遷

古代ギリシア時代、この島はエウボイア島と呼ばれていましたが、その形状からマクリス島、ドリケ島、あるいは居住していた民族の名からエロピア島、アバンティス島とも呼ばれていました。ラテン語ではエウボエア島（Euboea）として知られています。

中世には、エヴリポス海峡の名が変化し、島全体を指す名称となりました。ヴェネツィア共和国の統治下では、島と本土を結ぶ橋にちなんでネグロポンテ（Negroponte、黒い橋）と呼ばれていました。オスマン帝国統治下ではエーリボズ島（Eğriboz）の名で呼ばれていました。現在では、英語名でユービア島（Euboea）とも呼ばれることがあります。

地理的特徴

エヴィア島は、北西から南東に連なる山脈が特徴で、ほとんどが石灰岩で覆われています。しかし、峡谷の狭い平野は肥沃で、小麦、大豆、葡萄、オリーブなどが栽培され、家畜の飼育も行われています。また、亜炭、大理石、マグネサイトなどの鉱物資源も豊富です。

エヴィア島は、元々はギリシャ本土の一部でしたが、地震によって分裂して島になったと考えられています。島の近くには断層が走り、過去には北部で地震が発生した記録が残っています。島の北端は、テッサリア地方の海岸と非常に近い距離にあり、最も近い場所では40mも満たない地点があります。エヴリポス海峡と呼ばれるこの海峡は、ハルキスの町周辺で特に狭く、潮流が非常に特異であることが知られています。この潮流は、まるで川の流れのように一方向に流れたかと思えば、すぐに逆方向に流れを変えるため、古代から学問の対象となってきました。海峡には、紀元前410年に初めて橋が架けられました。

エヴィア島の主な山には、ディルフィス山（1,745m）、オヒ山（1,394m）、ピクサリア山（1,341m）などがあります。島の北側はパガシティコス湾に面し、西側はマリアコス湾や北エヴィア湾に接しています。

歴史

古代

エヴィア島の歴史は、島内の主要都市であるハルキスとエレトリアの歴史と深く関わっています。これらの都市は、アッティカ地方から移住したイオニア人によって建設されました。当時、イオニア人は広範囲に植民を行い、新しい交易路を確立し、西洋文明の地域を拡大しました。

ハルキスとエレトリアは商業的に繁栄し、エウボイア島の秤やさしは他のイオニア人都市やアテナイでも広く使われました。しかし、両都市はライバル関係にあり、古代ギリシア初期には海戦も行われました。紀元前710年から紀元前650年頃には、レラントス戦争でハルキスが勝利を収めました。

紀元前490年、エレトリアはアケメネス朝ペルシアによって完全に破壊され、住民はペルシアに連行されました。しかし、マラトンの戦いでギリシアが勝利した後、町は再建されました。その後、エレトリアがかつての栄光を取り戻すことはありませんでしたが、エウボイア島で2番目に重要な都市であり続けました。

ハルキスは、その後アテナイの軍事力に悩まされることとなりました。紀元前506年にハルキスがアテナイに敗北すると、約4,000人のアテナイ人がエウボイア島に移住し、島は独立した地位を失いました。

紀元前446年、エウボイア島でアテナイの支配から脱却する動きが見られたため、ペリクレスは再びアテナイからの入植者を送り込みました。彼らは島の北部にあったヒスティアエアの町に移住し、元の住民を追放しました。アテナイにとってエウボイア島は、穀物や肉牛の供給、商業の安全確保、海賊からの防衛のために重要な拠点であり、アテナイから近いエウボイア島が敵の手に渡ることは、アテナイにとって大きな脅威でした。紀元前410年、エウボイア島は再び独立を達成しましたが、その後、カイロネイアの戦いで敗れ、マケドニア王国に併合されました。その後、共和政ローマの支配下に入りました。

中世から近代

ローマ帝国分裂後、エヴィア島は東ローマ帝国に引き継がれました。1157年には、シチリア王国の軍隊によってエヴィア島沿岸の町が破壊されました。第4回十字軍の結果、東ローマ帝国の領土が分割されると、エヴィア島は3つの領地に分かれ、ヴェネツィア共和国の影響下に置かれることになりました。1470年、オスマン帝国のスルタン・メフメト2世によって、激戦の末に要塞化されたネグロポンテ（ハルキス）の町がオスマン帝国の手に渡り、1479年の講和でエヴィア島は正式にオスマン帝国領となりました。1470年から1830年のオスマン帝国支配の間、エヴィア島はエーリボズ島（Eğriboz）と呼ばれました。1830年のギリシャ独立戦争の結果、エヴィア島は新しく建国されたギリシャ王国の領土となりました。

現代

2006年には東ヨーロッパ一帯を襲った激しい降雪に見舞われ、2007年には山火事の被害を受けました。

参考文献

『地球大図鑑』- ジェームス・F・ルール(2005年,ISBN 9784777050741)
Norwich, John Julius. Byzantium: The Decline and Fall (New York: Alfred A. Knopf, 1996) p. 116

関連項目

ギリシャの島の一覧
エウボエア (小惑星)

外部リンク

* エヴィアの空中写真

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