アンヌ・ド・ゴンザーグ・ド・クレーヴ

アンヌ・マリー・ド・ゴンザーグ・ド・クレーヴの生涯

アンヌ・マリー・ド・ゴンザーグ・ド・クレーヴ（1616年 - 1684年7月6日）は、フランス貴族のギーズ公アンリ2世と、プファルツ＝ジンメルン公子エドゥアルトという、二人の男性と結婚したことで知られています。彼女は、マントヴァ公カルロ1世とマイエンヌ公シャルルの娘カトリーヌの末娘として生まれ、その人生は数々の転換と波乱に満ちていました。

生い立ちと最初の結婚

アンヌは、父カルロがフランスのヌヴェール公でもあった関係でパリで生まれました。幼少期は修道院に入る予定でしたが、1637年に父が亡くなったことで、彼女の人生は大きく変わります。年頃になったアンヌは、母方の又従兄にあたるギーズ公アンリ2世と激しい恋に落ちました。周囲の反対を押し切って、1639年には秘密裏に結婚し、アンヌは男装して夫のいるスダンへと逃避行をしました。しかし、この結婚生活は長くは続かず、1641年にアンリ2世から離婚を宣告され、彼女は捨てられる形となりました。

二度目の結婚と波乱の生活

1645年、アンヌは親元に戻っていましたが、プファルツ＝ジンメルン公子エドゥアルトとの望まない結婚を強いられました。エドゥアルトは、三十年戦争で領地を失ったプファルツ選帝侯フリードリヒ5世とイングランド王女エリザベスの息子の一人に過ぎず、財産もなくフランス宮廷では歓迎されませんでした。アンヌは、不満を抱えながらも社交界に身を投じ、多くの浮名を流しました。彼女は特にコンデ公ルイ2世（大コンデ）の気を引こうと積極的に行動し、親密な関係を築くことに成功しました。この大コンデとの関係を通して、フロンドの乱の時期には宮廷の公子たちと繋がりを持ちましたが、マザラン枢機卿やルイ14世とは疎遠な関係でした。

王妃の館の監督職とその後

1660年、アンヌは以前から候補に挙がっていた王妃の館の監督職に再び推薦されましたが、翌年には王の命令により任命されることはありませんでした。しかし、1663年に次女アンヌがコンデ公アンリ3世と結婚したことで、彼女の地位は回復しました。さらに、姉でポーランド王妃ルドヴィーカ（後にヤン2世と再婚）の働きにより、次女アンヌがアンギャン公位の継承予定者として後見されることになりました。また、三女ベネディクト・アンリエットは、ブラウンシュヴァイク＝カレンベルク公ヨハン・フリードリヒと結婚しました。この結婚によって生まれた娘の一人、アマーリア・ヴィルヘルミーネは神聖ローマ皇帝ヨーゼフ1世の皇后となりました。アンヌは1671年には、夫の姪であるエリザベート・シャルロット・ド・バヴィエールと王弟オルレアン公フィリップの縁談を成立させるなど、政治的な影響力を行使しました。

晩年と信仰

波乱に満ちた人生を送ったアンヌでしたが、晩年になると過去の生活を悔い改め、信仰に深く傾倒するようになりました。1684年に、信仰の中で静かに息を引き取りました。

子女

アンヌは二番目の夫エドゥアルトとの間に、以下の3人の娘をもうけました。

ルイーズ＝マリー（1647年 - 1679年） - 1671年、ザルム＝ザルム侯カール・テオドールと結婚
アンヌ（1648年 - 1723年） - 1663年、コンデ公アンリ3世と結婚
ベネディクタ・ヘンリエッテ（1652年 - 1730年） - 1668年、カレンベルク侯ヨハン・フリードリヒと結婚

参考文献

Spangler, Jonathan (2015). “Points of Transferral: Mademoiselle de Guise's Will and the Transferability of Dynastic Identity”. Dynastic Identity in Early Modern Europe: Rulers, Aristocrats and the Formation of Identities. Ashgate Publishing. p. 131-152
Williams, George L. (2004). Papal Genealogy: The Families and Descendants of the Popes. McFarland. ISBN 0-7864-2071-5

関連項目

マントヴァ公国

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