ギーズ公

ギーズ公とは

ギーズ公（フランス語: Duc de Guise）は、フランス貴族の称号であり、その歴史は16世紀初頭に遡ります。特にユグノー戦争（1562年 - 1598年）において、カトリック勢力の中心的な役割を果たしたことで知られています。この家系は、フランス王室との婚姻関係を通じて宮廷内での地位を確立し、政治的にも大きな影響力を持つようになりました。ギーズ公の称号は、断絶と継承を経て、ブルボン家の分家であるコンデ家やオルレアン家へと受け継がれていきました。

ギーズ家の歴史

ギーズ家の始まりは、1520年にロレーヌ公ルネ2世の次男クロードがパリ高等法院からギーズ伯領を与えられたことにあります。1528年にはギーズ公の称号を得て、名実ともにギーズ家が誕生しました。クロードの娘マリー（メアリー・オブ・ギーズ）がスコットランド王ジェームズ5世と結婚し、その娘メアリー（スコットランド女王メアリー）がフランス王太子フランソワ2世と結婚したことで、ギーズ家はフランス宮廷内での地位を確固たるものとしました。

ユグノー戦争において、ギーズ家はカトリック勢力の中心としてプロテスタント（ユグノー）に対抗しました。特にフランソワとアンリ1世の親子は、カトリック同盟を主導し、激しい宗教対立の中で重要な役割を果たしました。しかし、その影響力が大きくなるにつれて、王室との対立も深まり、アンリ1世はアンリ3世の刺客によって暗殺されました。

1688年にギーズ家は断絶し、ギーズ公の称号はブルボン家の分家であるコンデ家、オルレアン家に継承されました。これにより、ギーズ公の称号は、異なる家系によって受け継がれることとなりました。

歴代ギーズ伯・公

以下に、歴代のギーズ伯・公をまとめます。

ギーズ伯 (アンジュー家)
ルネ1世 (1417 - 1425) - ナポリ王

ギーズ伯 (リュクサンブール家)
ジャン2世・ド・リュクサンブール (リニー伯) (1425 - 1440)
ルイ・ド・リュクサンブール (サン＝ポル伯) (1440 - 1444)

ギーズ伯 (アンジュー家)
シャルル4世・ダンジュー (1444 - 1472)
シャルル5世・ダンジュー (1472 - 1481)

ギーズ伯 (アルマニャック家)
ルイ・ダルマニャック (ヌムール公) (1491 - 1503)
マルグリット・ダルマニャック (ヌムール女公) (d.1503)
ピエール・ド・ロアン＝ジェ (1503 - 1504, マルグリットの夫)
シャルロット・ダルマニャック (ヌムール女公) (d.1504)
シャルル・ド・ロアン＝ジェ (1504 - 1520, シャルロットの夫)

シャトノワ＝ヴォーデモン＝ギーズ家
クロード（1496年 - 1550年）
フランソワ（1520年 - 1563年） - ユグノー戦争で暗殺される
アンリ1世（1550年 - 1588年） - サン・バルテルミの虐殺、カトリック同盟で知られる。アンリ3世の刺客により暗殺される。
シャルル1世（1571年 - 1640年）
アンリ2世（1614年 - 1664年）
ルイ・ジョゼフ（1650年 - 1671年）
フランソワ・ジョゼフ（1670年 - 1675年）
マリー（1615年 - 1688年）

ブルボン＝コンデ家
アンリ3世（1643年 - 1709年）
ルイ2世（1668年 - 1710年）
ルイ3世アンリ（1692年 - 1740年）
ルイ4世ジョゼフ（1736年 - 1818年）
ルイ5世アンリ（1756年 - 1830年）

ブルボン＝オルレアン家
アンリ（1847年） - フランス王ルイ・フィリップの五男・オマール公アンリ・ドルレアンの次男
フランソワ・ポール（1852年） - アンリの弟
フランソワ・ルイ（1854年 - 1872年） - フランソワ・ポールの弟
ジャン（1874年 - 1940年） - フランス王ルイ・フィリップの曾孫、アンリ・ドルレアンの又甥

ギーズ家の影響

ギーズ家は、フランスの歴史において重要な役割を果たしました。特にユグノー戦争におけるカトリック勢力の指導者としての活躍は、当時のフランス社会に大きな影響を与えました。また、その後の歴史においても、ギーズ公の称号はブルボン家の分家に受け継がれ、フランス貴族社会における重要な地位を維持し続けました。

関連事項

ギーズ家
ブルボン＝コンデ家
オルレアン家

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