アンブラン

アンブランの概要

アンブラン（Embrun）は、フランスのプロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏、オート＝アルプ県に位置するコミューンです。デュランス川を見下ろす岩上に旧市街が築かれており、その地名はケルト語の「ebr（水）」と「dun（要塞または丘）」に由来するとされています。標高約870mに位置し、両側を標高3000m級の山々に囲まれたこの地は、アルプス地方の中でも特に日照時間が長く乾燥した気候であり、「アルプスのニース」と呼ばれることもあります。

地理と自然

アンブランはデュランス川の渓谷が形成する地質学的な移行帯に位置しており、周囲には手つかずの自然が残っています。エクラン国立公園やウィンタースポーツの中心地にも近く、自然愛好家にとっては魅力的な場所です。この地域は、年間を通して日照時間が長く、降水量が比較的少ないという特徴があります。

歴史

アンブランは古代、アルプス地方に住んでいたケルト人のカトゥリゲス族の中心地でした。ローマ時代には「エブロドゥヌム」という名の都市として発展し、コッティア街道が通過する重要な場所でした。ローマ帝国の属州アルペス・マリティマエのキウィタス（civitas）の中心地であり、総司教座とカテドラルが置かれていました。4世紀には、聖マルケリヌスによって司教座が設けられ、後に大司教座に昇格しました。中世にはアンブランの大司教公がこの地を支配していましたが、その後、プロヴァンス伯やドーファンがその領有権を継承しました。

1589年にフランスに併合されるまで、アンブランはブルジョワが支配するコミューンであり、税の問題では平等主義的な慣習がありました。また、テンプル騎士団もこの地に館を所有し、学校を運営していました。1692年には、サヴォイア公の軍に包囲され略奪されましたが、1872年にはシタデルの役目を終え、1882年には鉄道建設のために城壁が取り壊されました。

史跡

アンブランには、歴史的な建造物が数多く残っています。

ノートルダム・ダンブラン教会: ロマネスク様式とゴシック様式が融合した美しい教会で、ドーフィネ・アルプス地方における代表的な教会建築の一つです。
ブリュヌ塔、ダンジョン、中世の城壁跡: 中世に築かれた城壁の一部が今も残っており、当時の面影を伝えています。
コルドリエ会修道院: 現在はコミューンの観光事務所が入っており、15世紀から16世紀にかけて描かれたフレスコ画が礼拝堂に残っています。

交通

アンブランは、ギャップからブリアンソンへ向かう途中に位置し、オート＝アルプ県の南北を結ぶ交通の要所です。

道路: 国道94号線が通っています。
鉄道: TERマルセイユ＝ブリアンソン線やグルノーブル＝ブリアンソン線が利用できます。

気候

アンブランは年間平均101日凍結し、年間85日ほど降水量が1mmを超えます。観測史上最低気温は-19.1℃（1985年1月9日）、最高気温は36℃（1983年7月27日と2003年8月13日）を記録しています。年間日照時間は2484時間と、フランス国内でも有数の晴天率を誇ります。

姉妹都市

アンブランは以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ツェル・イン・ヴィーゼンタール（ドイツ）
アンブラン（カナダ）
ボルゴフランコ・ディヴレーア（イタリア）
* サムイ島（タイ王国）

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