アンボン

アンボンについて

アンボン（コタ・アンボン）は、インドネシアのアンボン島に位置する主要城市で、西に広がる入り江の南岸にある港湾都市です。この地域は、インドネシア東部において最大規模の都市の一つであり、マルク州の州都でもあります。2012年の時点で、アンボンの人口は約31万人です。

歴史

アンボンの歴史は1526年にポルトガルが占領したことから始まります。ポルトガル領モルッカ総督のサンチョ・デ・バスコンセロスによって設立され、「ノサ・セニョーラ・デ・アヌンシアーダ」という名前が付けられました。その後、1609年にオランダに占領され、インドネシア独立までの間、短期間のイギリス支配を挟みつつオランダ領東インドに組み込まれました。

この時期、住民は「市民」（オランダ人、ポルトガル人、アラブ人、中国人など）と「村人」（地元の人々）に分けられ、1623年には「アンボイナ事件」として知られるオランダ人による虐殺が発生しました。これによりイギリスの影響力は弱まりました。

1942年には日本軍がアンボンを占領し、後にインドネシア独立宣言が行われましたが、1950年には南マルク共和国の独立運動の中心地となりました。その後、軍により鎮圧され、さらには1958年にアメリカのCIAによる暗殺作戦が実施されるなど、激動の歴史を経てきました。

1999年1月からは宗教に基づく紛争が勃発し、キリスト教徒とイスラム教徒の間で衝突が起き、周辺地域で4000人が死亡し、40万人の難民が出る結果となりました。2002年と2011年にも暴動が発生し、宗教対立は現在も完全には解決していない状況です。

交通

アンボンにはパティムラ空港があり、空港から市内までの距離は約36kmです。陸路でアクセスする際は、ダムリバスやタクシーを利用することができ、手頃な価格で市内に行くことが可能です。さらには、乗り合いバスやボートを利用する方法もあります。主要な航空会社がジャカルタやマカッサル、バンダ諸島などに就航しているため、交通の利便性も高いです。

治安と文化

1998年から続いた宗教的な紛争は、アンボンの治安に大きな影響を与えましたが、個人旅行を制限されるほど深刻ではないともしています。過去には日本の水産企業が良質なマグロ漁場を理由に進出していましたが、宗教的な対立の影響で撤退した例もあります。アンボンは独自の音楽文化を持ち、多様な民族が共存する地域でもあります。

大学と姉妹都市

アンボンには公立のパティムラ大学や私立のインドネシアクリスチャン大学が存在し、教育機関としても機能しています。また、姉妹都市として、インドネシアのバタム島、オーストラリアのダーウィン、アメリカのグアムが指定されています。これにより、他の地域との文化交流が進んでいます。

アンボンは、複雑な歴史を持ちながらも、文化や交通の要所としての存在感を持った都市であり、今後の発展が期待されています。

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