アンリ・デュフール

ギョーム・アンリ・デュフールの生涯と業績

ギョーム・アンリ・デュフール（Guillaume Henri Dufour）は1787年9月15日にコンスタンツで誕生しました。スイスのジュネーヴ出身で、父は時計職人および農民でした。2歳のときに家族はジュネーヴに移り、そこでデュフールは教育を受けました。彼は医学を学び、その後、パリのエコール・ポリテクニクで画法幾何学を専攻しました。1809年に士官学校を卒業し、1810年にはコルフ島でイギリス軍と戦うこととなります。1814年にフランスに戻り、リヨンでの要塞修復工事の功績によりレジオンドヌール勲章を受賞し、大尉へと昇進しました。

軍人としての足跡

1817年、デュフールはジュネーヴに戻り、新設されたスイス国軍で大尉に任命されました。さらにジュネーヴ軍の指揮官と、ジュネーヴ大学の数学教官にも就任しました。この地で彼は都市計画や地図作成において多くの業績を上げました。正式に任命される前からジュネーヴの都市計画に関わり、1822年には世界初のワイヤーケーブル吊り橋であるセント・アントワーヌ橋を設計し、建設しました。

デュフールはまた、レマン湖へ蒸気船を導入したり、ガス灯を設置したりしました。1832年には正確な地形図の作成を命じられ、その結果、1864年に「デュフール地図」が完成しました。彼は教育者としても活躍し、1819年にはトゥーンに設立された士官学校で教官に就任。1829年にはルイ・ナポレオンが入学し、その後も親交を保ちました。

分離同盟戦争の指揮者

1840年代、スイスでは自由主義カントンと保守派カントンによる内乱が続き、分裂の危機が迫っていました。1847年、自由主義派の盟約者団はデュフールを史上初の将軍に任命し、軍権を委譲しました。彼は速やかに戦争を決着させるべく、各カントンを個別に攻略しました。結果、短期間の内に保守派を降伏させ、スイス国旗の元となる白い十字を軍旗として採用しました。

この戦争では戦死者は130人、負傷者も400人と、比較的少ない被害で済みました。デュフールは戦闘中、自軍の負傷者の治療にも尽力しました。

戦後の活動

1848年に新たなスイス連邦が成立した後も、デュフールはさまざまな公職を歴任しました。1852年にはジュネーヴとリヨンを結ぶ鉄道会社の社長に就任し、さらには1856年に発生したヌーシャテル事件では、戦争の危機を乗り越えるために和平を仲介する役割を果たしました。彼の弟子であるナポレオン3世との関係もあり、デュフールは国際的な舞台での交渉に重宝されました。

赤十字の設立

1863年、デュフールはアンリ・デュナンと出会い、国際的な救護団体の設立に協力しました。彼は初代委員長として活動し、1864年には「第1次ジュネーヴ条約」の締結に貢献。これにより、戦争時の人道的取り扱いや捕虜の保護についての基準が設けられました。

彼は1867年に連邦政府の職から引退し、ジュネーヴで静かな生活を送りました。1875年7月14日、彼はこの地で亡くなりました。デュフールの少なからぬ業績は、現在でもスイスにおける重要な歴史として語り継がれています。

もう一度検索