アン・バクスター

アン・バクスターについて

アン・バクスター（Anne Baxter）は、1923年5月7日にアメリカ合衆国インディアナ州で生まれ、1985年12月12日に62歳で亡くなった女優です。彼女は裕福な家庭に生まれ、母方の祖父は著名な建築家フランク・ロイド・ライトという背景を持っています。この環境の中で育った彼女は、10歳の時にヘレン・ヘイズの舞台を見て女優の道を志すようになります。

演技の訓練と早期のキャリア

11歳の時にニューヨーク州に移り、セオドラ・アーヴィン演劇学校でロシア出身の女優マリア・アウスペンスカヤの指導を受けながら演技を学びます。13歳の時にはブロードウェイデビューを果たし、1940年には20世紀フォックスと契約し、映画デビュー作『20 Mule Team』でスクリーンに登場します。この役は当初予定されていた『レベッカ』のスクリーンテストの結果、代わりに与えられたものでした。

映画での輝かしいキャリア

1941年の『スワンプ・ウォーター』や1942年の『偉大なるアンバーソン家の人々』での演技が高く評価され、1946年には『剃刀の刃』でアルコール中毒の娘役を演じ、アカデミー助演女優賞を受賞します。続く1950年の映画『イヴの総て』では、ベティ・デイヴィス演じる大女優を利用して成り上がろうとする新人女優イヴ・ハリントンを演じ、名声を確立しました。この作品で彼女は、共演のベティ・デイヴィスとともにアカデミー主演女優賞にノミネートされますが、その栄冠は逃してしまいます。

その後も、セシル・B・デミル監督の壮大な作品『十戒』でエジプトの王女ネフレテリを演じるなど、数々の名作に出演します。しかし1960年代以降は、舞台やテレビ作品への出演が増え、より多様な活動を展開していきます。

私生活と後の活動

プライベートでは、バクスターは3度の結婚を経験しています。特に2度目の結婚の際にはオーストラリアの牧場主の元へ移住し、数年間をキャトル・ステーションで過ごしました。1973年にはテレビシリーズ『刑事コロンボ』のエピソード『偶像のレクイエム』で、かつて栄華を誇った大女優を演じ、彼女自身のキャリアを反映した役どころでした。

1976年には自伝を出版し、その内容は批評家から高く評価されます。また、衣装デザイナーのイーディス・ヘッドと親しい関係を築いており、彼女が亡くなった際には、バクスターの娘がヘッドの宝石コレクションを譲り受けたというエピソードも残っています。1985年には、ヘッドが本人役で出演している『偶像のレクイエム』が放送されています。

最期と評価

アン・バクスターは1985年12月12日に脳動脈瘤により亡くなりました。彼女が残した数々の作品や功績は、アメリカ映画界で今でも高く評価されています。バクスターの演技は、彼女のキャラクターの深みや複雑性を見事に表現しており、観客に強い印象を与え続けています。

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