アヴェンジャー級航空母艦

アヴェンジャー級護衛空母：大戦下の改造空母群の軌跡

アヴェンジャー級護衛空母（別名チャージャー級護衛空母）は、第二次世界大戦下のアメリカ海軍において、C3商船を改造することで建造された航空母艦です。本級は、アメリカ海軍からイギリス海軍に貸与された護衛空母の最初のグループに属し、その建造過程や艦歴は、戦時下の急造空母の現実を如実に物語っています。

誕生と艦形

4隻の貨物船「リオ・ハドソン」、「リオ・パラナ」、「リオ・デ・ラ・プラタ」、「リオ・デ・ジャネイロ」が、完成前に護衛空母へと改造されました。しかし、改造時期によって艦形に違いが見られます。「アヴェンジャー」と「チャージャー」は平甲板型でしたが、「バイター」と「ダッシャー」は右舷側に艦橋を配置した設計となっていました。この設計の違いは、改装時期や要求仕様の変化を反映していると考えられます。

改造方法は、他の商船改造空母と類似しており、船体上に新たな飛行甲板を増設、その下に格納庫を設けるという手法がとられました。飛行甲板のサイズは、全長151mの船体に対して125m（後に「バイター」と「ダッシャー」は134.7mに延長）と、ややコンパクトな設計でした。艦幅は元の21.2mから23.2mに広げられ、カタパルトを1基設置することで艦載機の運用を可能としました。飛行甲板中央には、格納庫と飛行甲板を繋ぐエレベーターが設置され、艦載機の迅速な運用をサポートしていました。

兵装と機関

元が商船であったため、兵装は既存のスペースを有効活用した配置となっています。主砲として、Marks 9 10.2cm（50口径）速射砲を3基搭載。2基を艦首、1基を艦尾に配置し、対艦防御を担いました。近接防御火器として、エリコン 20mm機銃15基と12.7mm機銃6基が装備されました。レーダーとして79型および271型が搭載され、対空・対水上探知能力を向上させていました。なお、10.2cm速射砲は、就役後にイギリス海軍式の「アームストロング Marks V 10.2cm（45口径）高角砲」へと換装されました。これは対空能力の強化を目的としていたものと考えられます。

機関は、ドッグスフォード式2サイクル過給6気筒ディーゼル機関2基を搭載し、1軸推進で8,500馬力を発揮、16.5ノットの速力を実現していました。これは商船時代の機関を流用したもので、高速性は重視されていませんでした。

各艦の艦歴と結末

アヴェンジャーは、1942年11月15日、北アフリカ上陸作戦支援中にドイツ海軍Uボート「U155」の雷撃を受け、爆沈しました。ダッシャーは船団護衛中に機関故障を起こし、修理中に爆発沈没しました。バイターは、イギリス海軍での修理が不可能と判断され、自由フランス海軍に移管されました。その後、自由フランス海軍の努力により機関が修復され、船団護衛や航空機輸送任務に従事し、1966年にアメリカ海軍に返還されました。チャージャーは比較的早期にアメリカ海軍に返還されています。

まとめ

アヴェンジャー級護衛空母は、戦時下の緊急性の中で建造された、いわば「寄せ集め」の航空母艦でした。商船改造という制約の中で、限られた資源と時間で建造されたこれらの艦艇は、その短い生涯の中で様々な役割を果たしました。それぞれの艦の運命は異なりましたが、その存在は第二次世界大戦における連合国の勝利に貢献した重要な証左と言えるでしょう。それぞれの艦の短いながらも重要な役割と、その最期は、歴史に刻まれた重要な記録として残されています。

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