ア・ソング・フォー・ユー (アルバム)

君への歌 - ア・ソング・フォー・ユー

『ア・ソング・フォー・ユー』（A Song for You）は、カーペンターズの名作として知られる4枚目のアルバムです。この作品は1972年の6月13日にリリースされ、リチャード・カーペンターの意向により、オープニングとエンディングに同タイトルの楽曲を配置したコンセプト・アルバムの形式が採用されました。このアルバムはキャッシュボックス誌の1972年度におけるトップ100アルバムの中でも26位を記録しています。

日本での発売時には、最初『トップ・オブ・ザ・ワールド』という邦題で登場しましたが、その後、原題『ア・ソング・フォー・ユー』に戻り、さらに再発された際には『愛は夢の中に』としても知られるようになりました。これは、アルバムの収録曲「I Won't Last a Day Without You」が影響しているためです。特別に金メッキ加工されたCDも販売され、その品質は通常のCDを凌ぐと謳われましたが、オリジナル盤の音質も優れているため、両者の違いはあまりありません。

このアルバムは、カーペンターズのオリジナル作品の中で最も優れたものと広く認識されています。収録されている楽曲の中からは、6曲がA面としてシングルリリースされ、「ハーティング・イーチ・アザー」、「小さな愛の願い」、「愛にさよならを」、「トップ・オブ・ザ・ワールド」、「愛は夢の中に」、「動物と子供たちの詩」となっています。

「ハーティング・イーチ・アザー」は、ルビー・アンド・ザ・ロマンティクスの隠れた名曲をカバーしたもので、1972年初頭にリリースされました。この曲は全米で2位を獲得し、さらにカーペンターズにとって6枚目のゴールドディスクをもたらしました。続いてリリースされた「小さな愛の願い」はキャロル・キングの作品で、こちらも12位にランクイン。さらに「愛にさよならを」では、エレキギターのソロが話題となり、当時のイージーリスニング系ラジオ局での放送が拒否される一幕もありました。この曲は、後のパワーバラードというジャンルに多大な影響を与えました。アルバムには、映画『動物と子供たちの詩』のタイトル曲も収録されており、Hot 100チャートでは「スーパースター」のB面として67位に達しました。

特に「トップ・オブ・ザ・ワールド」は、アルバムリリースから1年以上経過してからシングルとしてリリースされたにもかかわらず、全米チャートでナンバーワンを獲得しました。リチャード・カーペンターとジョン・ベティスが共作したこの曲は、商業的価値を見誤った結果の遅れだったと言われていますが、結果的にカーペンターズ版が日本でヒットし、後にアメリカでも大成功を収めることに繋がりました。

他にも、「愛は夢の中に」は1974年にシングルカットされると、Hot 100で11位に昇進しました。アルバムからのシングルは全てがアダルト・コンテンポラリーチャートにおいて1位または2位にランクインし、「動物と子供たちの詩」を除いては大ヒットを記録しました。特に「愛にさよならを」と「愛は夢の中に」はイギリスのシングルチャートでトップ10ヒットを収め、「トップ・オブ・ザ・ワールド」はオリコンチャートにおいても何度もランクインした実績があります。

収録曲

A面

1. ア・ソング・フォー・ユー (4:42)
2. トップ・オブ・ザ・ワールド (2:56)
3. ハーティング・イーチ・アザー (2:46)
4. 小さな愛の願い (2:55)
5. 愛にさよならを (3:50)
6. インターミッション (0:22)

B面

1. 動物と子供たちの詩 (3:07)
2. フラット・バロック (1:45)
3. ピアノ・ピッカー (1:59)
4. 愛は夢の中に (3:46)
5. クリスタル・ララバイ (3:58)
6. 明日への旅路 (3:50)
7. ア・ソング・フォー・ユー (リプライズ) (0:53)

このアルバムは、カーペンターズの音楽が幅広いリスナーに支持される理由を象徴する作品であり、音楽史における重要な位置を占めています。

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