ア・ビガー・バン

ローリング・ストーンズの金字塔『ア・ビガー・バン』：8年ぶりのスタジオアルバムが巻き起こした熱狂

2005年、世界中のロックファンを熱狂させたアルバムがリリースされました。それは、ローリング・ストーンズの『ア・ビガー・バン』(A Bigger Bang)です。前作『ブリッジズ・トゥ・バビロン』から実に8年ぶりとなる待望のスタジオアルバムは、リリース前から大きな期待と同時に、メンバーの高齢化を懸念する声も上がっていました。平均年齢60歳を超えるメンバーたちが、過去の輝かしい作品に匹敵するアルバムを生み出せるのか、疑問視する向きもあったのです。

しかし、蓋を開けてみれば、その不安は杞憂に終わりました。『ア・ビガー・バン』は、批評家やファンから絶賛を浴び、70年代のストーンズを彷彿とさせる傑作として高い評価を獲得したのです。かの有名な『ローリング・ストーン』誌ですら「70年代のアルバムに並ぶ傑作」と称賛するほどの出来栄えでした。このアルバム制作には、キース・リチャーズがミック・ジャガーの家に数ヶ月間も滞在し、共に曲作りに没頭するなど、並々ならぬ熱意が注ぎ込まれていました。チャーリー・ワッツは後に「こういうことは60年後半以来のことだ」と語っており、メンバーたちの並々ならぬ情熱がうかがえます。

アルバムは、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツの3人だけで録音された楽曲も含まれるなど、制作過程においても幾つかの特異な点が見られます。また、全曲でミック・ジャガーがギターを演奏しているのも特徴の一つです。商業的な成功も収め、全米3位、全英2位、日本で5位という好成績を記録しました。後には、ボーナスDVDを同梱したスペシャル・エディションもリリースされ、更なる人気を博しました。

アルバムを支えた、個性豊かなメンバーとサポートミュージシャンたち

『ア・ビガー・バン』は、ストーンズの主要メンバーであるミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッドの4人を中心に制作されました。ミック・ジャガーはリードボーカルだけでなく、ギター、ハーモニカ、キーボード、ベース、パーカッションなど多様な楽器を演奏。キース・リチャーズもギターに加え、リードボーカル、バックボーカル、キーボード、ベースを担当するなど、それぞれの持ち味を存分に見せつけました。

さらに、アルバムには豪華なサポートミュージシャン陣も参加しています。ベースにはダリル・ジョーンズ、ピアノやオルガンにはチャック・リーヴェル、バックボーカルにはブロンディ・チャップリン、キーボードやアレンジにはマット・クリフォードなど、多彩な才能が結集し、アルバムの完成度を高めています。

世界を駆け巡った、歴史に残るワールドツアー

アルバムリリースに伴い、2005年8月21日、ボストン・フェンウェイ・パークからスタートしたワールドツアー「A BIGGER BANG」は、世界中で大きな話題を呼びました。北米公演の後、2006年には日本を含む極東ツアーを開催。日本公演は5公演行われ、大成功を収めました。その後、ヨーロッパ、再び北米と、3年に渡り世界各地を巡演。上海公演では、一部楽曲の歌詞内容を考慮し、演奏が見送られたエピソードも残っています。

このツアーは、延べ147公演、動員数468万人、興行収入5億ドルを超えるという驚異的な記録を樹立。当時の世界記録を塗り替えました。（現在の記録は、U2の『360°Tour』の7億ドル超え）。ツアーの規模、成功の度合い、その影響力は、音楽史に残るものとなりました。

まとめ：時代を超えて愛される、不朽の名盤

『ア・ビガー・バン』は、単なるアルバムを超えた、ローリング・ストーンズのキャリアにおける重要なマイルストーンと言えるでしょう。メンバーの高齢化を懸念する声もあった中、見事にその期待に応え、そして超えた、彼らの揺るぎない音楽性と創造性を証明した作品です。このアルバムは、これからも多くのロックファンを魅了し続け、音楽史に燦然と輝く不朽の名盤として語り継がれていくことでしょう。

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