ア・ムーン・シェイプト・プール

『ア・ムーン・シェイプト・プール』（A Moon Shaped Pool）は、イギリスのロックバンド、レディオヘッドが2016年に発表した9枚目のアルバムです。前作『ザ・キング・オブ・リムズ』から5年ぶりとなる本作は、バンドの新たな方向性を示すとともに、過去の音楽的要素を昇華させた集大成とも言える作品として、高い評価を受けています。

アルバムは、緻密に構成されたサウンドスケープと、深遠なテーマが特徴です。ストリングス、ピアノ、エレクトロニクスなど、多様な楽器が織りなすサウンドは、美しくもどこか憂いを帯びており、聴く者を深く引き込みます。歌詞は、愛、喪失、希望、絶望など、人間の感情の複雑さを描き出し、聴く者の心に深く響きます。

Disc 1

1. Burn The Witch: ストリングスを主体とした楽曲で、コル・レーニョ奏法によるパーカッシブな響きが特徴です。終盤には不協和音が加わり、狂騒的な雰囲気を醸し出します。ストップモーション・アニメーションによるミュージックビデオも話題となりました。
2. Daydreaming: ポリリズムのピアノがミニマルに展開されるアンビエントな楽曲です。夢の中にいるような浮遊感と、どこか切ないメロディが印象的です。ポール・トーマス・アンダーソンが監督したミュージックビデオも高く評価されています。
3. Decks Dark: 陰鬱な雰囲気を持つ楽曲で、トム・ヨークの歌声が深く響きます。後半にかけて盛り上がりを見せ、力強いコーラスが印象的です。
4. Desert Island Disk: アコースティックギターを主体とした7拍子の楽曲です。トム・ヨークの繊細な歌声と、穏やかなメロディが心に沁みます。
5. Ful Stop: 前作『ザ・キング・オブ・リムズ』のツアーから演奏されていた楽曲です。緊張感のあるリズムと、不穏な雰囲気が特徴です。
6. Glass Eyes: 短い楽曲ながら、美しいピアノの旋律とトム・ヨークの歌声が印象的です。孤独感や不安感が漂う、静謐な雰囲気を持っています。
7. Identikit: 本アルバムのタイトル「ア・ムーン・シェイプト・プール」が歌詞に登場する楽曲です。複雑なリズムと、美しいコーラスが特徴です。
8. The Numbers: 重厚なストリングスが印象的な楽曲です。ライブではエド・オブライエンのギターによって再現されます。環境問題や社会問題に対するメッセージが込められています。
9. Present Tense: ボサノヴァのリズムを取り入れたナンバーです。軽快なリズムと、トム・ヨークの優しい歌声が心地よい楽曲です。
10. Tinker Tailor Soldier Sailor Rich Man Poor Man Beggar Man Thief: タイトルが特徴的な楽曲で、複雑な構成と、不穏な雰囲気が印象的です。
11. True Love Waits: 1990年代からライブで演奏されていた楽曲ですが、本作で初めてアルバムに収録されました。ピアノとトム・ヨークの歌声のみで構成された、シンプルで美しいバラードです。

Disc 2

1. Ill Wind: ダークでメランコリックな雰囲気を持つ楽曲です。エレクトロニカの要素も取り入れられています。
2. Spectre: 2015年公開の映画『007 スペクター』のために書き下ろされた楽曲ですが、使用されませんでした。美しくも悲しげなメロディが印象的なバラードです。

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