アーカンソー (戦艦)

USSアーカンソー（BB-33）の艦歴

起工から第一次世界大戦

1910年1月25日にニューヨーク造船所で起工されたアーカンソーは、1911年1月に進水し、1912年9月17日に就役しました。就役後まもなくタフト大統領の閲艦を受け、パナマ運河の視察にも同行しました。その後、大西洋艦隊に合流し、東海岸での演習や地中海への巡航を行いました。1913年にはメキシコ革命に伴うアメリカ軍のベラクルス上陸作戦に参加し、陸戦隊を上陸させ市街戦で活躍しました。

第一次世界大戦では、アメリカ参戦後の1917年、東海岸の哨戒任務や商船の武装訓練に従事しました。1918年7月には戦艦「デラウェア」に代わりスコットランドに派遣され、イギリス海軍艦隊の一員として作戦行動に参加。11月にはドイツ大洋艦隊の降伏調印式に臨席しました。

戦間期

終戦後、アーカンソーはウィルソン大統領を護衛してブレストに到着し、帰国後はノーフォーク海軍工廠でのオーバーホールを経て、艦隊に復帰。1919年には太平洋艦隊に配属され、サンフランシスコに移動、海軍長官やウィルソン大統領の観閲を受けました。その後、ピュージェット・サウンド海軍造船所で大規模なオーバーホールを行い、1920年5月に任務に復帰、カリフォルニア沿岸での作戦に従事しました。

平時には、訓練やオーバーホールを繰り返し行い、海軍兵学校生の訓練巡航にも従事。1923年にはヨーロッパを巡航し、デンマークのコペンハーゲンやポルトガルのリスボンなどを訪問しました。1925年には西海岸を巡航中にサンタバーバラ地震が発生し、治安維持や通信支援にあたりました。近代化改修工事を経て、1926年11月に復帰。東海岸やカリブ海で活動を続け、1927年にはフランス軍兵士追悼記念式典にも出席しました。その後も訓練巡航を行い、1931年にはヨークタウンの戦い150周年記念式典に参加、フーヴァー大統領が乗艦しました。

1930年代には海軍兵学校生の訓練巡航や上陸演習に参加。1934年にはヨットレースにも参加し、バッテンベルク・カップを獲得しました。1935年から1939年にかけても訓練や演習を継続し、第二次世界大戦勃発に備えました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦勃発後、アーカンソーはアイスランド占領作戦に参加し、船団護衛任務にも従事しました。1941年8月には、ルーズベルト大統領とチャーチル首相の会談に同行し、両首脳の補佐官の宿泊施設として利用されました。真珠湾攻撃時にはカスコ湾に停泊していましたが、その後アイスランドへ派遣され、1942年1月に帰還しました。

1942年後半には、イギリスへの船団護衛任務に複数回従事。北アフリカ侵攻作戦では、モロッコへの船団を警護しました。1943年には、カサブランカとニューヨーク間の航海を繰り返し、海軍兵学校生の訓練にも携わりました。1944年1月には再びイギリスへの船団警護を行い、その後ノルマンディー上陸作戦を支援するため、フランス沿岸へと派遣されました。

1944年6月6日、ノルマンディー上陸作戦当日の早朝から砲撃を開始し、上陸部隊を支援しました。シェルブール攻略戦にも参加し、敵の海岸砲台を砲撃、その陥落に貢献しました。その後、南フランス侵攻作戦であるドラグーン作戦を支援し、砲撃任務に従事しました。1944年9月に帰国し、修理と改修を受けた後、太平洋戦線へ派遣されました。

1945年には硫黄島、沖縄戦に参加し、上陸部隊への火力支援を行いました。終戦後には帰還兵の輸送任務に従事し、アメリカ本土と真珠湾の間を往復しました。

退役と最期

1946年初頭まで帰還兵輸送任務に従事した後、アーカンソーはクロスロード作戦の標的艦に選ばれました。同年7月1日のABLE実験では沈没を免れましたが、7月25日のBAKER実験により沈没しました。アーカンソーは7月29日に解役され、8月15日に除籍されました。

第二次世界大戦での活躍により、4つの従軍星章を受章しました。

まとめ

USSアーカンソーは、その長い艦歴の中で、第一次世界大戦、戦間期、第二次世界大戦と、激動の時代を駆け抜けた戦艦でした。旧式化しながらも、近代化改修を受け、様々な作戦に参加し、その役割を全うしました。最後は核実験の標的艦として、その生涯を終えましたが、アメリカ海軍の歴史にその名を刻んでいます。

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