クロスロード作戦とは？意味をやさしく解説

クロスロード作戦 (Operation Crossroads)

クロスロード作戦は、1946年の夏、アメリカ合衆国がビキニ環礁で実施した一連の核実験を指します。この作戦では、21キロトン級の原子爆弾を用いて、エイブル実験（Able）とベーカー実験（Baker）の2回にわたり、核爆発が行われました。エイブル実験は1946年 7月1日に、空中158mで実施され、ベーカー実験は7月25日に水深27mの深海で爆発しました。エイブル実験の名称は、その結果生じた水着「ビキニ」にちなんでいます。

目的と企画

クロスロード作戦の主な目的は、艦船、機器、そして各種の物質に対する核兵器の威力を確認することでした。このため、アメリカ海軍の約70隻の艦艇が標的としてビキニ諸島に集められました。これには、アメリカ海軍の老朽艦、ドイツ海軍や日本海軍から接収した艦艇も含まれており、特に戦艦「長門」や重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」が注目されました。また、実験には生きた動物が200匹の豚、60匹のモルモット、204匹のヤギ、5000匹のラット、200匹のマウスなどが使用されました。

組織と人員

この実験は「第一統合任務部隊（Joint Task Force 1）」によって実施され、旗艦には空母シャングリラが使用されました。また、全体で42,000人以上の人員が参加し、そのうち37,000人以上が海軍関係者でした。元々ビキニ環礁に住んでいた170人は無人島に移住させられ、実験前に全ての人員はビキニ環礁と艦艇から退避しました。彼らは安全な距離を保ち、実験支援艦でも待機しました。

実験の詳細

エイブル実験

エイブル実験では、B-29スーパーフォートレス爆撃機から投下された核爆弾が、標的艦の近くで炸裂しました。投下位置はわずか630mずれてしまったものの、テスト自体は順調に進行しました。残存艦艇には放射線が一時的に影響を与えましたが、ほとんどの艦艇は安全に乗艦できる状態を保ったため、続くベーカー実験への準備も問題なく行われました。

ベーカー実験

一方、ベーカー実験では、艦船の中心で海中にて爆発が起こり、ドーム状の霧が発生するなど、特異な現象が観測されました。エイブル実験後との比較で、ベーカー実験では8隻の艦艇が沈没し、残った艦艇も深刻な放射線汚染に見舞われました。これにより、乗艦の作業は数週間行えない状態が続きました。

チャーリー実験

チャーリー実験は、核兵器の対潜効力を試すために計画されましたが、ベーカー実験による放射線汚染の影響で中止となりました。以降の実験は1955年のウィグワム作戦として実施されました。

放射能影響と除染作業

ベーカー実験後、放射線汚染された艦艇に対する除染作業が始まりました。最初は洗浄作業が難航しましたが、時間が経つにつれ、クェゼリン環礁に艦艇を移動させ、そこでの作業に切り替えました。最終的にアメリカとハワイに送られた艦艇は、汚染が軽微であったことから再び運用可能となり、実験支援艦隊も早期に放射能の除去を達成しました。

本作戦は、放射能レベルの監視のもとで実施され、参加者の被曝量は非常に低く抑えられていました。核実験の影響に関しては、様々な記録が残されており、歴史的にも重要な位置を占めています。

クロスロード作戦