アーケード (建築物)

アーケードとは

アーケードとは、柱で支えられた連続したアーチやヴォールトのことを指し、これにより形成された通路や歩道のことも含まれます。また、拱廊とも呼ばれるこの構造物は、現代では単に天井のある歩道や商店街を指す用語として広く用いられています。

歴史的背景

アーケードの起源は古代ローマにさかのぼりますが、特にローマ建築においてその技術が発展しました。後に西洋の建築においても、バシリカ式教会や修道院のクロイスターにおいてアーケードが頻繁に使用されるようになり、壁の表面に配置して装飾とする「ブラインド・アーケード」も登場しました。さらに、イスラーム建築においては、アーチの形状が多様化し、アーケードが広範囲に利用されるようになりました。

ショッピング・アーケード

都市の街並みの中で、通りに面した建物や古くから存在する城壁内、そして柱廊で覆われた橋などは、どれも商業や交流が行われる賑やかな空間となっていました。これらの場所は、太陽や悪天候からの保護を提供し、人々が徒歩で通行する際の快適な環境を作り出しました。時を経て「アーケード」という言葉は、商人たちが並ぶ通りを形容するために使われるようになりました。特に1794年、フランスのパレ・ロワイヤルにおいて最初のショッピングアーケードが建設され、その壮大さから「アーケード」の代表的な例とされています。

19世紀に入ると、鉄やガラスで覆われたショッピングアーケードが登場し、イタリアでは「ガッレリア」、フランスでは「パサージュ」として知られるようになりました。このようなアーケードは後に百貨店やショッピングモールの発展に寄与しました。

アミューズメント・アーケード

アーケードという用語は、遊園地や謝肉祭で見られる食べ物やゲーム商品を販売する場所にも使用されることがあります。これらの場所は「アミューズメント・アーケード」や「ミッドウェイ」と呼ばれることが一般的です。1905年から1910年の間に登場した硬貨を使用して遊ぶ遊具は「ペニー・アーケード」と称され、遊園地の固定設置品として定着しました。

ペニー・アーケード内に設置されていたゲーム機は「アーケードゲーム」として知られるようになり、特に1970年代の電子ゲームの流行以降、アーケードゲーム専門の施設、いわゆる「ゲームセンター」が登場しました。英語圏では「ビデオアーケード」や「アーケード」と呼ばれ、日本では「ゲームセンター」として広く認知されています。このようにして、アーケードという言葉は家庭用ゲームに対する対比としても使われることがあります。

著名なショッピング・アーケードの例

世界中には多くの有名なショッピングアーケードがあります。イギリスのロンドンに位置するバーリントン・アーケードや、カーディフ・シティ・アーケードなどが挙げられます。またアメリカにはオハイオ州クリーブランドのクリーブランド・アーケードや、ロードアイランド州プロビデンスのウェストミンスター・アーケードがあります。さらに、イタリアのミラノにあるヴィットリオ・エマヌエレ2世のガッレリアなど、その地域の魅力を引き出す重要な通りとなっています。

アーケードは、単なる建築物にとどまらず、人と人、人と文化、歴史が交差する重要な空間を提供してきました。

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