アーサー・ウェルズリー (初代ウェリントン公爵)

初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリー

アーサー・ウェルズリー（初代ウェリントン公爵、1769年5月1日 - 1852年9月14日）は、イギリスの有名な軍人および政治家です。彼はナポレオン戦争を通じてその軍事的才能を示し、特に1815年のワーテルローの戦いでの勝利により、その名声を不動のものとしました。

生い立ちと初期の教育

アーサーはアイルランドの貴族、初代モーニントン伯爵ギャレット・ウェズリーの三男として生まれました。彼はロンドンにて初等教育を受けた後、イートン校に進学しました。イートン校では運動能力が高く、若い頃から喧嘩することが多かったとの逸話があります。その後、フランスの陸軍士官学校に進学し、ここでフランス語を習得しました。

軍歴の始まり

1787年、アーサーはイギリス陸軍に入隊し、多くの戦争に従事するようになります。特に1794年にはフランス革命戦争のベルギー戦線で活躍し、初めての実戦経験を積みました。その後1796年にはインドに派遣され、インド総督として任じられた兄の指揮下で戦争に参加しました。

インド征服と帰国

彼は1799年のマイソール王国征服など、インドでの数々の戦争での活躍により名を馳せました。その後、1805年に帰国し、トーリー党から国会議員に当選します。彼はここから政治家としての道を歩み始め、アイルランド担当大臣として内閣に入閣しました。

半島戦争とナポレオン戦争への従事

アーサーは1808年から始まる半島戦争で重要な役割を果たします。特に1808年にはポルトガルに上陸し、ヴィメイロの戦いでフランス軍を撃退します。その後も多くの戦闘で指揮し、タラベラの戦いでは成功を収め、その結果「ウェリントン・オブ・タラベラ子爵」の爵位を与えられます。

ワーテルローの勝利とその影響

1815年、アーサーはワーテルローの戦いでナポレオン軍を打ち破り、名将としての地位を確固たるものとしました。ナポレオンが敗北した後、彼はフランス占領軍の総司令官として新たな役目を担い、平和的な占領を維持しました。その後1818年には、イギリスへ帰国します。

政界での活動

帰国後も彼はリヴァプール伯爵内閣の補給庁長官を務め、1827年までこの職にありました。その後も政治活動を続け、1828年から1830年には二度に渡って首相を務め、カトリック解放法案を通過させました。彼の政界での活躍は、ナポレオン敗北の英雄としての名声とも相まって多大な影響を及ぼしました。

晩年と死

生涯を通じて軍務に愛情を持ち続けたウェリントン公爵でしたが、晩年は政治活動や軍制改革に対する慎重な姿勢が目立ちました。1852年に83歳で死去し、その葬儀はセント・ポール大聖堂で行われました。

アーサー・ウェルズリーはナポレオン戦争という動乱の時代を生き抜き、軍事的、政治的に貴族の名を高めた偉大な人物として歴史に名を刻んでいます。

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