アーサー・ブリス

サー・アーサー・ブリスについて

サー・アーサー・ブリス（Sir Arthur Bliss）は、1891年8月2日に生まれ、1975年3月27日に逝去したイギリスの作曲家で、彼の音楽スタイルは深いロマン主義とエネルギッシュな楽天主義に支えられています。彼はイギリスの父とアメリカの母の間に生まれ、若い頃から音楽に興味を持ちました。

音楽的成長と戦争の影響

ブリスは王立音楽大学でスタンフォードに師事した後、第一次世界大戦に従軍し、戦後に作曲活動を本格的に開始しました。彼の初期作品には、特殊な編成の楽曲が多く見られ、たとえば『テノールとピアノ、弦楽合奏のための協奏曲』や、ソプラノと室内オーケストラのための『騒動』（Rout）などがあります。これらの作品では、声楽家が楽器として扱われ、言葉を使用せずとも音楽を表現しています。また、ブリスは初期の作品でストラヴィンスキーやドビュッシーからの影響を受けており、音楽の様々な色の関係を試みた1922年の『色彩交響曲』ではジャズの要素も入っています。

イギリス音楽への回帰

1920年代後半になると、ブリスはエルガーに影響を受けながら、イギリスの音楽伝統に回帰し、『牧歌』や合唱交響曲『朝の英雄たち』を発表しました。特に1927年に作曲された『オーボエと弦楽のための五重奏曲』は、古代ケルトの感性やバグパイプ風の音型が印象的です。1930年代には映画『来るべき世界』やバレエ音楽『チェックメイト』を手掛け、多作家として精力的に活動しました。彼は自身の作品が国際的に多くの支持を得ることを望みました。

戦後の活動と挑戦

第二次世界大戦中は英国放送協会（BBC）の音楽監督を務めました。戦後はBBCラジオの各局で音楽番組を企画し、1950年にはナイトに叙爵、1953年には王室音楽監督に任命されます。しかし、戦後の作曲活動は彼が望んだような成功を収めることができず、オペラ『オリュンポスの神々』やカンタータ『八福』は思うような人気を得ませんでした。特に、ブリテンの『戦争レクイエム』に対抗する力が乏しかったことが悔やまれます。

ブリスは『チェロ協奏曲』のような作品を巨匠ロストロポーヴィチのために作曲しましたが、他の同時代の作品に埋もれてしまいました。彼の音楽は録音として残されましたが、広く指揮者に受け入れられることはありませんでした。最後の大作『メタモルフォーゼ変奏曲』は1972年に初演されましたが、彼が望んでいたストコフスキーの指揮は叶いませんでした。

まとめ

アーサー・ブリスは1964年にロンドン交響楽団と共に来日し、その際には『色彩交響曲』や『チェックメイト』などの作品を指揮しました。彼の音楽は生涯を通じて多数の作品を生み出し、国際的にも評価されているものの、特に戦後は成功を得られなかったという複雑な経歴を持っています。彼の音楽は、豪華な色彩感や多様な感情を特徴としており、聴く者を魅了し続けています。

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