アージェ＝スカルペッリ

アージェ・スカルペッリ：イタリア映画史に輝く脚本家コンビ

アージェ・スカルペッリは、アジェノーレ・インクロッチとフリオ・スカルペッリという2人のイタリア人脚本家による共同筆名です。彼らは1919年生まれの同い年で、長年にわたるパートナーシップを通して、イタリア映画界に多大な貢献を果たしました。

彼らの共同執筆は1949年、ステーノ監督の映画『トト、家を探す』(Totò cerca casa)から始まりました。この作品で、インクロッチは「アージェ(Age)」、スカルペッリは「スカルペッリ(Scarpelli)」としてクレジットされました。以降、数々の名作を世に送り出し、イタリア映画黄金時代の発展に大きく貢献しました。

特に、マリオ・モニチェリ監督との共同作業は目覚ましく、1959年の『いつもの見知らぬ男たち』では、モニチェリ、スーゾ・チェッキ・ダミーコと共にナストロ・ダルジェント最優秀脚本賞を受賞。他にも、1965年の『ゴールデンハンター』ではアカデミー賞脚本賞にノミネートされ、1975年の『人気小説』ではダヴィド・ディ・ドナテッロ賞最優秀脚本賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝きました。

ピエトロ・ジェルミ監督作品とのコラボレーションも成功を収め、1965年の『誘惑されて棄てられて』と1967年の『蜜がいっぱい』では、ジェルミ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニと共にナストロ・ダルジェント最優秀脚本賞を獲得しました。

エットーレ・スコラ監督との仕事も特筆すべきで、1980年の『テラス』では、スコラと共にカンヌ国際映画祭最優秀脚本賞とナストロ・ダルジェント最優秀脚本賞を受賞しました。

アージェ・スカルペッリの脚本は、ユーモアと人間ドラマを巧みに織り交ぜた、イタリアンコメディの傑作として知られています。彼らの作品は、時代を超えて愛され続け、イタリア映画史に燦然と輝く功績を残しました。

1985年の『戦争の狂人』が彼らの最後の共同脚本作品となり、その後はそれぞれが個別に活動しました。アジェノーレ・インクロッチは2005年、フリオ・スカルペッリは2010年に亡くなりましたが、彼らの生み出した作品は、今もなお世界中の観客を魅了し続けています。

主なフィルモグラフィ (共同脚本作品):

『トト、家を探す』(1949)
『愛の交響楽』(1955)
『三月生れ』(1958)
『いつもの見知らぬ男たち』(1959)
『戦争・はだかの兵隊』(1959)
『みんな帰ろう』(1960)
『好敵手』(1962)
『誘惑されて棄てられて』(1963)
『怪物たち』(1963)
『ゴールデンハンター』(1965)
『蜜がいっぱい』(1965)
『おとぼけ紳士録』(1965)
『続・夕陽のガンマン』(1966)
『カロリーナ』(1967)
『華やかな魔女たち』(1967)
『シシリー要塞異常なし』(1972)
『あんなに愛しあったのに』(1974) - 原案・脚本
『人気小説』(1974)
『テラス』(1979)
『サンデー・ラバーズ』(1980) - 第4話『ローマ』
* 『戦争の狂人』(1985)

これらの作品は、イタリアンコメディの代表作として高く評価されており、アージェ・スカルペッリの才能と功績は、イタリア映画史に永遠に刻み込まれることでしょう。

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