アーチーズ国立公園

アーチーズ国立公園（Arches National Park）は、アメリカ合衆国ユタ州モアブ近郊に位置する国立公園です。この公園の特徴として、2,000を超える自然に形成された砂岩のアーチが挙げられ、特にデリケート・アーチ（Delicate Arch）はユタ州の象徴となっています。公園の広さは約309平方キロメートル（119平方マイル）で、最も高い地点はエレファント・ビュートの標高1,723メートル、最も低い地点はビジターセンター周辺の1,245メートルです。

公園は1970年以来、42のアーチが浸食により崩れたことが確認されています。年間の降雨量は平均250ミリメートル（約10インチ）で、乾燥した気候がこの地域の特性となっています。アーチーズは1929年に国定公園として指定され、1971年には国立公園として正式に誕生しました。観光客数は年々増加しており、2004年には730,000人以上、2006年には833,049人が訪れました。

公園の魅力

a. デリケート・アーチ：高さ約13メートル、幅約10メートルの孤立したアーチで、ユタ州のシンボル。

b. バランス・ロック：巨大な岩がバランスを保ちながら立っており、約3台のスクールバスほどの大きさです。

c. ダブル・アーチ：2つのアーチが互いに接続しており、高い上部に位置している。

d. ランドスケープ・アーチ：非常に薄く、全長100メートル（300フィート）を超える、最も長いアーチです。

e. ファイアリー・ファーネス：狭い通路と高い岩の柱が織りなす美しい地域です。

f. デビルズ・ガーデン：多くのアーチと柱が散在し、美しい景観を生み出しています。

g. コートハウス・タワーズ：高い石柱群で、訪れる人々を魅了します。

地質構造

アーチーズ国立公園は地下の岩塩層の上に位置し、この岩塩層はアーチや尖塔、バランス岩の形成に重要な役割を果たしています。約3億年前、この地域には海水が流れ込み、その後蒸発して堆積物が形成されました。長い年月にわたり、岩塩層は洪水や風、さらには他の堆積物によって覆われ、圧力によって岩となりました。地震や浸食がこの地形の独特の形状を生み出しており、特にアーチの形成が注目されています。

さらに、サーモン色のエントラーダ砂岩層と鈍黄色のナバホ砂岩層が、特色ある地層を形成しており、これらの層は水と氷の作用を受けて様々な形状を生み出しています。この浸食プロセスにより、現在見ることができる多くのアーチが形成されました。

歴史

アーチーズ国立公園には、10,000年以上前から人々が居住していました。特にフレモント族や古代プエブロ族がこの地域に生息していたことがわかっています。1775年にはスペインの宣教師がこの地を訪れ、ウテ族やパイユート族と接触しました。1855年にはモルモン教徒が最初の入植を試みましたが、長続きしませんでした。その後、1880年代に入ってから牧場主や探鉱者がこの地域を目指すようになり、美しい地形が観光地としての評価を得るきっかけとなりました。

フランク・A・ウォドレーによってこの地域が初めて国立公園局の注目を集め、デビルズ・ガーデンとして知られる場所が提案されました。1929年4月にはアーチーズ国立公園が正式に設立され、その後も幾度かの拡張が行われる中で観光業が発展していきました。

レクリエーション活動

公園内ではアーチへの登攀は禁止されていますが、ドライブやトレッキング、サイクリング、キャンプ、ハイキングなどのアクティビティが楽しめます。ガイド付きのツアーも提供されており、訪れる人々にとって多彩な体験が可能です。

また、作家エドワード・アビーの著作がこの地域の魅力を広め、ハイキングやマウンテンバイク愛好者を惹き付ける要因となりました。映画「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦|インディ・ジョーンズ_最後の聖戦」の撮影地としても知られています。

生物相

アーチーズ国立公園は、多種多様な野生動物や植物が見られる場所でもあります。

野生動物

- スキアシガエル
- アメリカカケス
- ハヤブサ
- アカギツネ
- サバク・オオツノヒツジ

植物

- ユタ・ジュニパー
- オプンティア
- インディアン・ライスグラス
- エフェドラ・ゲラルディアナ
- マツヨイグサ

このように、アーチーズ国立公園は自然と歴史が調和した魅力的な場所であり、訪れる人々にとって忘れがたい体験を提供しています。

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