アーチー・マニング

イライシャ・アーチボルド・マニング3世（Elisha Archibald Manning III）は、1949年5月19日にミシシッピ州で生まれた元プロアメリカンフットボール選手です。クォーターバック（QB）として、主にニューオーリンズ・セインツで活躍しました。彼の息子であるペイトン・マニングとイーライ・マニングも、共にNFLでスーパーボウルMVPに輝くなど、アメリカンフットボール界で偉大な足跡を残しています。

大学時代とドラフト

マニングはミシシッピ大学（オール・ミス）時代に、数々の記録を打ち立てました。1968年にはルイジアナ州立大学戦で362ヤード、1969年のアラバマ大学戦ではパスで436ヤード、ランで104ヤードの合計540ヤードを記録。この記録は、2008年シーズン終了時点でもサウスイースタン・カンファレンスで2位にランクインする偉大な記録です。1969年にはサウスイースタン・カンファレンスの最優秀選手に選ばれ、ハイズマン賞選考でも4位の得票を獲得。翌1970年には3位に入賞するなど、大学時代からその才能を高く評価されていました。1971年のNFLドラフトでは、1巡目全体2位でニューオーリンズ・セインツに入団しました。

プロとしてのキャリア

セインツ入団後、1972年にはNFLトップのパス試投数と成功数を記録しましたが、その一方で、入団から5年間で3年間被サック数トップという不名誉な記録も残しました。当時、チームは弱小で、創設以来続いていた負け越しはマニングの入団後も1978年まで続きました。プロフットボール殿堂入りを果たしたジャック・ヤングブラッドは、マニングのパスプロテクションの弱さを指摘しており、彼が度々フィールドに倒されていたことを証言しています。しかし、多くの選手が彼のタフネスには敬意を表していたと言います。セインツでの11シーズンで、彼は合計340サックを浴びました。

チームの成績不振に、ファンはチームを「Aint's」と揶揄し、ペーパーバッグをかぶって観戦するほどでした。1978年にはチームが7勝をあげ、マニングはUPI選出のNFC最優秀選手に選ばれました。しかし、この時のリーグMVPはテリー・ブラッドショーであり、UPI選出のMVPは1996年に終了しています。1979年には8勝8敗と健闘したものの、1980年には1勝、1981年には3勝と再び低迷。セインツ在籍中に6勝以上を挙げたシーズンは、わずか2シーズンにとどまりました。

1982年シーズン途中に、マニングはヒューストン・オイラーズにトレードされました。しかし、オイラーズも再建途上のチームで、1982年、1983年の2シーズンで彼が先発したのは8試合のみ。そして、わずか1勝しか挙げることができませんでした。1983年シーズン中にミネソタ・バイキングスに移籍し、1984年シーズンを最後に現役を引退しました。14年の選手生活で、彼は139試合に先発し、35勝しか挙げることができませんでした。そして、プレーオフへの出場も叶いませんでした。

引退後

セインツでの背番号「8」は、正式な永久欠番ではありませんが、マニング移籍後は誰も着用していません。さらに、マニング入団前にも着用した選手はおらず、彼がセインツ史上唯一背番号「8」を付けた選手となっています。引退後、マニングはニューオーリンズに居住していましたが、ハリケーン・カトリーナの被害を受けてミシシッピ州へ移住しました。現在は、CBSのカレッジフットボール解説者を務めています。

家族

マニングの息子であるペイトン・マニングはインディアナポリス・コルツ、イーライ・マニングはニューヨーク・ジャイアンツでクォーターバックとして活躍し、共にスーパーボウルチャンピオンとなりました。しかし、父マニングが所属したセインツは、NFLのエクスパンションで誕生したばかりの弱小チームであり、1度もプレーオフに出場することはありませんでした。長男のクーパーもテネシー大学でワイドレシーバーとして活躍していましたが、脊髄損傷のためプロを断念せざるを得ませんでした。


イライシャ・アーチボルド・マニング3世は、自身の輝かしい実績だけでなく、息子たちの活躍を通じて、アメリカンフットボール界に大きな影響を与え続けている人物です。

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