アーネスト・ヘンリー・ウィルソン

アーネスト・ヘンリー・ウィルソンの生涯と業績

アーネスト・ヘンリー・ウィルソン（1876年2月15日 - 1930年10月15日）は、イギリス出身の著名なプラントハンターとして知られています。彼はアジアの植物に魅了され、約2,000種をヨーロッパやアメリカに紹介しました。その結果、60種以上の植物が彼の名を冠しており、特に屋久島の「ウィルソン株」として知られる切り株の調査でも名を馳せました。

幼少期と教育

ウィルソンはグロスタシャーのチッピングカムデンに生まれ、すぐに家族はウォリックシャーのシャーリーに引っ越しました。そこで家業の花造りを手伝いながら育ちました。16歳で見習い庭師としてヒューイットの栽培園で働き始め、その後バーミンガム植物園での経験を経て、夜は技術学校で学びました。この時期に植物学の賞を受賞しており、彼の才能が早くから花開いたことがわかります。

植物採集の旅路

1897年には王立植物園（キューガーデン）で働き始め、針葉樹に関する研究でフッカー賞を受賞しました。その後、ヴィーチ商会に雇われたウィルソンは、中国での植物採集の任務を受けました。彼はボストンでの準備を経て、1899年には香港に到着し、中国の雲南省や湖北省での採集を行いました。特にハンカチノキの採集が有名で、合計で305種の種子や906の乾燥標本をイギリスに持ち帰りました。

彼の旅は続き、1903年には再度中国に向かい、チベットや四川省での採集を行った後、1906年にはアーノルド樹木園の支援を受けて3度目の採集旅行に出ました。この旅行では、カメラを持参し、中国の人々や風景の美しい写真を多く残しています。

日本との関わり

ウィルソンは日本にも多くの植物を採集しました。第一次世界大戦中には、負った怪我により徴兵を免れ、研究に専念し続けました。彼は1914年に屋久島の屋久杉の切り株についての研究を発表し、1916年にはソメイヨシノの交雑の可能性について提唱しました。これらの業績は後の植物研究に大きな影響を及ぼしました。

後半生と功績

1927年には、アーノルド樹木園の園長に就任し、植物学界での地位を確立しました。彼は1912年に王立園芸協会からヴィクトリア名誉メダルを受賞し、アメリカ芸術科学アカデミーの会員にも選ばれています。また、ハーバード大学などから名誉学位も授与されるなど、その業績は広く認識されています。

著作と影響

ウィルソンは多くの著作を残しており、特に『A naturalist in western China』や『Plantae Wilsonianae』などは彼の貴重な研究成果を記録したものであり、植物研究者にとって重要な資料となっています。また、彼の業績は日本でも評価されており、関連書籍が多数出版されています。ウィルソンの探求心と植物に対する情熱は、今日の植物学においても未だに生き続けています。彼の名前は、多くの植物に冠され、彼の遺した足跡は決して消えることがありません。

ウィルソンの人生は、植物を通じて自然への敬意と探求の大切さを教えてくれる物語であり、彼の果たした役割は今なお評価され続けています。

もう一度検索