アーノルド・リース

アーノルド・スペンサー・リースについて

アーノルド・スペンサー・リース（1878年 – 1956年）は、イギリスのファシスト政治家であり、獣医師としての経歴を持つ人物です。リースは、イングランド北西部のランカシャー州リザム・セント・アンで生まれました。彼の学び舎はノース・ヨークシャーにあるギグルスウィック校であり、そこを卒業後、獣医師の資格を取得しました。その後、リースは英領インドに渡り、特にラクダに関する専門知識を身につけていきました。

獣医師としてのキャリア

インドで6年間働いた後、リースは同じく英帝国の植民地である東アフリカ保護領に移り続けて業務に従事しました。彼の動物愛護精神と獣医師としての情熱は強く、特にラクダに関する数多くの研究を行い、その成果は雑誌に多く発表されています。彼の最初の論文は1909年に『熱帯獣医科学雑誌』に掲載され、ラクダに寄生する虫にはリースの名を冠して「Thelazia leesei」と名付けられています。

第一次世界大戦が勃発すると、リースはイギリス陸軍に入隊し、獣医部隊として西部戦線や中東で従軍しました。戦後は獣医師としての職業に復帰しつつ、本の執筆活動を行い、1928年には彼のラクダに関する著書『ヒトコブラクダの健康と病気』が広く認知されます。これはインドにおける獣医学の標準的な教材となりました。

政治的活動と反ユダヤ主義

リースは、政治活動にも身を投じるようになり、反ユダヤ主義の立場を採るようになります。この偏見は、ユダヤ教における食事規定として知られるカシュルートに対する嫌悪感から生じたとも言われています。彼はユダヤ人がイギリス帝国に脅威をもたらしているという考えを持ち、1924年にイギリスファシスト党に加入し、その後さまざまなファシストグループに参加しました。

政治的な立場を表明するため、リースは1924年にリンカンシャーのスタムフォードで町会議員に選出され、自身のファシスト団体の代表として活動を開始します。しかし、次第に彼はイギリスファシスト党に失望し、1929年には新たに帝国ファシスト連盟を設立しました。この団体の旗にはイギリスの国旗と鉤十字があしらわれ、リースは反ユダヤ的な主要な主張を展開しました。

投獄とその後の人生

その後、彼は反ユダヤ主義をテーマにした記事が原因で投獄されるという事態に見舞われます。1936年には「ユダヤの儀式殺人」と題した記事が原因で迷惑行為で有罪となり、罰金の支払いを拒否し、結局は6ヶ月の懲役に服しました。釈放後には『私の失当な弁明』というパンフレットを発表し、自身の立場を擁護します。

第二次世界大戦の開戦後、リースは他のファシストとともに逮捕されることになりますが、彼の場合は健康上の理由で1943年に条件付きの保釈を受けます。1947年には武装親衛隊員の逃亡を手助けしたとして再び投獄されます。そして1951年には自伝『踏み外し - 反ユダヤ主義ラクダ医師の二つの人生に起きたこと』を出版し、自身の活動を振り返ることになりました。

戦後もリースは雑誌『Gothic Ripples』の主宰を続け、反ユダヤ的な内容を発信し続けます。また、若き日のコリン・ジョーダンに影響を与え、彼の活動拠点として「アーノルド・リース・ハウス」が使われることとなります。こうしてリースの人生は、彼の獣医師としての専門性と政治的な活動が交錯し、特に反ユダヤ主義が強く影響を及ぼしました。

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