アームストロングの混合物

アームストロング混合物：危険なほど敏感な爆薬

アームストロング混合物は、非常に感度の高い一次爆薬として知られています。その組成は、主に赤リンと強力な酸化剤である塩素酸カリウムや過塩素酸カリウムから成り立っています。赤リンの代わりに、または赤リンの一部を硫黄で置き換えることもあり、この場合、感度はわずかに低下するものの、コストを抑える効果があります。また、少量の炭酸カルシウムが添加されることもあります。

商業的には、主に玩具用のキャップガンやパーティーポッパーの紙製のキャップに、ミリグラム単位の少量が使用されています。これらの用途では、わずかな量の爆発で十分なため、危険性をある程度抑えることができます。しかし、その危険性から、軍事用途での使用は限定的です。

製造と危険性

アームストロング混合物は、マッチの薬頭などを粉砕し、赤リンと混合することで、容易に作ることができてしまう点が問題です。しかし、その手軽さの裏には、非常に高い危険性が潜んでいます。

この混合物は、衝撃、摩擦、そして炎に極めて敏感です。乾燥した塩素酸カリウムと赤リンを直接混合するだけでも爆発の危険性があります。そのため、通常は、これらの成分を水でスラリー状にして混ぜ合わせ、その後乾燥させることで、感度を下げる工夫がされています。また、油脂などを添加して感度をさらに低減させることもあります。

赤リンは空気中の酸素と反応しやすく、非常に発火しやすい性質を持っています。このため、アームストロング混合物は、取り扱いには細心の注意が必要です。不適切な取り扱いによって、密閉された空間では激しい爆発を引き起こす可能性も否定できません。

第二次世界大戦中には、炭化ホウ素を添加したアームストロング混合物が銃のプライマーに使用された事例もあるとされていますが、赤リンの不安定性や爆発の危険性から、自家製銃のプライマーやテロリストによる即席爆発装置を除いて、軍事用途での利用価値は低いと言えます。

安全対策と注意

アームストロング混合物を扱う際には、以下の点に十分注意する必要があります。

衝撃や摩擦を与えないように、静かに取り扱う。
火気厳禁。
湿気のある場所で保管する（赤リンの酸化を防ぐため）。
小さな容器に少量ずつ保管する。
絶対に自作しない。

アームストロング混合物は、その手軽さから自作される危険性がありますが、その危険性を軽視することは大変危険です。取り扱いには専門知識と経験が必要であり、素人が安易に扱うべきものではありません。専門家以外による製造や使用は、絶対に避けるべきです。

関連用語

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チェダイト
* ミージアンキー

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