アームストロング・ホイットワース アポロ

アームストロング・ホイットワース アポロの概要

アームストロング・ホイットワース アポロ（Armstrong Whitworth AW.55 Apollo）は、1940年代にイギリスのバギントンでアームストロング・ホイットワース社によって開発された旅客機です。本機は、当時人気を集めたビッカース バイカウントに対抗することを目的として設計されましたが、エンジンのトラブルによりわずか2機しか製造されませんでした。

開発の経緯

この旅客機の開発は、航空省の要求仕様であるC.16/46に基づいて行われました。この仕様では、24～30名の乗客を乗せ、1,610 kmを超える距離を巡航速度480 km/h（300 mph）で飛行する小型かつ中距離の与圧キャビンを持つ機体が求められました。

AW.55 アポロは、片持ち式の低翼単葉機で、通常の片持ち式の水平尾翼に加え、与圧式の客室を備えています。また、首車輪式の降着装置も特徴です。量産機型では、アームストロング・シドレー マンバエンジンを使用する計画でしたが、試作機の段階では出力が800 shp（600 kW）にしか達しませんでした。このため、最初の試作機（シリアル番号：VX220）は1949年4月に初飛行を果たしたものの、機体の不安定さや出力不足が問題となり、わずか9時間で運航が停止される事態となりました。

その後、テスト飛行が再開されたものの、さらにエンジンの不具合が明らかになりました。設計変更も行われ、飛行特性を改善するために胴体背面にフィンが追加されるなどの対策が講じられました。1950年には、一時的に無償での乗客輸送の許可を得たものの、エンジン関連の問題が続き、開発は難航しました。アームストロング・ホイットワース社はアポロの販売活動を行いましたが、性能及びエンジンに関する問題が解決できず、1952年6月には開発が打ち切られました。

運用の歴史

開発計画は中止となったものの、完成した2機の試作機は軍需省に引き取られました。一機は1952年9月からボスコムダウンで運用され、その後、帝国テストパイロット学校での使用に回されました。もう一機は1953年に運用を開始し、1955年には解体されました。残された機体は、王立航空研究所の耐圧試験に使用され、1970年代まで利用されることとなりました。

主な技術仕様

• - 乗員: 3名
• - 搭載量: 旅客26〜31名
• - 全長: 21.79 m（71 ft 6 in）
• - 全幅: 28.04 m（92 ft 0 in）
• - 全高: 7.92 m（26 ft 0 in）
• - 翼面積: 91.6 m²（986 ft²）
• - 空虚重量: 13,600 kg（30,800 lb）
• - 最大離陸重量: 20,400 - 21,400 kg（45,000 - 47,000 lb）
• - エンジン: 4 × アームストロング・シドレー マンバ AS.1 ターボプロップ（1,010 shp, 753 kW）
• - 最大速度: 531 km/h（330 mph）
• - 巡航速度: 444 km/h（276 mph）
• - 巡航高度: 8,534 m（28,000 ft）
• - 航続距離: 1,513 km（940 mi）

このように、アームストロング・ホイットワース アポロは優れた仕様を持ちつつも、エンジンのトラブルによって運用機会は限られました。また、競合機の成功により、その運命は厳しいものとなりました。

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