アームストロング・シドレー マンバ

マンバエンジンの詳細

マンバ（Mamba）は、1940年代から1950年代にかけてイギリスのアームストロング・シドレー社によって製造されたターボプロップエンジンです。このエンジンは、1,500有効馬力（ehp）に相当する1,100 kWを発生し、航空機の推進に寄与してきました。特に、このエンジンはターボプロップエンジンの中でもユニークな特徴を備えており、通常のジェット燃料の他にも軽油を使用できる点が挙げられます。

設計と開発

マンバは、設計において軸流式の圧縮機を持ち、10段にわたる設計が特徴です。また、6つの燃焼室と2段のタービンを搭載しており、小型ながらも高い効率を誇っています。プロペラスピナー内部には遊星歯車式の減速ギアが組み込まれており、エンジン始動時にはカートリッジを使用して稼働する仕組みです。このエンジンの社内呼称はASM（Armstrong Siddeley Mamba）であり、派生型にはASM.3とASM.6が存在します。ASM.3は1,475 ehp、ASM.6は1,770 ehpを発生させました。

1948年には、マンバエンジンを搭載したダグラスDC-3ダコタのテストが行われ、ターボプロップエンジンとして初めて使用された機体となりました。1949年には全てのダコタ機がマンバエンジンに装換され、さらなる性能向上を実現しました。

さらに、マンバエンジンの派生型であるダブル・マンバエンジンは、イギリス海軍の対潜哨戒機フェアリーガネットに搭載されました。このエンジンは、実質的に2基のマンバを並列に配し、共通のギヤボックスを通じて二重反転プロペラを駆動するシステムを採用しています。また、マンバの減速ギヤボックスを取り外したバージョンは、ターボジェットエンジンとして「アダー」という名称で開発されました。

主な派生型と搭載機

マンバエンジンには複数の派生型が存在し、具体的には以下の機体が搭載されました。

• - ASM.3モデル

- アームストロング・ホイットワース アポロ
- アブロ アテナ
- ボールトンポール バリオール
- ブレゲー Br.960 ブルテュール

• - ASM.6モデル

- ショート シーミュー

展示と遺産

現在、アームストロング・シドレー マンバエンジンは、ウォリックシャーのコヴェントリー空港に位置するミッドランド航空博物館や、コスフォード空軍博物館に展示されています。このエンジンは、航空機エンジンの歴史において重要な役割を果たした証として、多くの航空ファンや研究者に注目されています。

技術的要目

以下は、マンバエンジンの主な技術的仕様です。

• - タイプ：ターボプロップエンジン
• - 全長：2217.4 mm (87.3 in)
• - 直径：737 mm (29 in)
• - 乾燥重量：354 kg (780 lb)
• - 圧縮機：軸流式10段
• - 燃焼室：6室
• - タービン：2段
• - 最大推力：4,610 kg (10,163 lb)
• - 最もし推力：1,320 shp プラス推力405 lb (1,475 eshp)
• - 最終圧縮比：5.35:1
• - 燃料消費量：0.8 lb/時間/eshp
• - 推力重量比：1.9 eshp/lb

マンバエンジンは、その独自の設計と機能によって、航空機技術の発展に寄与しました。

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