アームストロング飛行研究センター

アームストロング飛行研究センター（AFRC）

アームストロング飛行研究センターは、アメリカ合衆国カリフォルニア州エドワーズ空軍基地内に位置するNASAの航空研究機関です。このセンターの名前は、アポロ11号で人類初の月面着陸を果たした宇宙飛行士、ニール・アームストロングに由来しています。AFRCは、高速飛行に関する研究を中心に、さまざまな航空機の開発と評価を行っており、特に「Xプレーン」の開発に多大な貢献をしています。

歴史と改名

アームストロング飛行研究センターの前身は、1947年に設立されたNACA（国家航空宇宙局）のミューロック飛行試験隊です。この機関は、さまざまなタイプの飛行機に対する研究活動を展開してきました。センターは、その後も名称を変更しながら発展し、1976年にドライデン飛行研究センターへと改称されました。しかし、2014年にはバラク・オバマ元大統領の署名によって、現在の名称に変更されました。この変更に際して、ドライデンの名は「NASA ヒュー・L. ドライデン航空試験場」として残されました。

主要な実験機

ダグラス D-558-2 スカイロケット

AFRCでは、NACAの一部として、ダグラス社製の実験機D-558-2スカイロケットが運用されました。この機体はロケットエンジンとジェットエンジンを利用して飛行し、B-29から懸架されて発進しました。D-558-2の後継機には空軍のX-1が存在します。

M2-F1 リフティングボディ

リフティングボディの概念に基づくM2-F1は、1960年代から70年代にかけて開発された航空機の初号機です。この機体は、翼によらず胴体によって揚力を得る設計が特色で、1963年には実際の飛行テストが行われました。M2-F1による成果は、後のスペースシャトルオービタの設計に大きな影響を与えました。

制御された衝撃実演

AFRCでは、FAAと協力し新ジェット燃料を用いた大規模な衝突実験が行われました。テスト機のボーイング720を遠隔操作で墜落させ、事故による火災の抑制効果が評価されました。しかし、結果として新燃料では効果が薄いことが判明しました。

リニアエアロスパイク SR-71実験機

LASREと呼ばれる実験機は、ロッキード・マーチンによって開発された再使用型の宇宙往還機です。この機体はリニアエアロスパイクエンジンの研究を基にし、テストがSR-71偵察機に搭載される形で行われました。

月面着陸試験機

LLRV（月面着陸試験機）およびLLTV（月面着陸訓練機）は、アポロ計画における月面着陸技術の習得のために開発された機体です。これらは訓練中に何度か事故に遭いましたが、パイロットは無事でした。これらの機体は月面の環境での操縦技術を極めて重要なものでした。

エンジン推力制御による機体コントロール

AFRCでは、全油圧喪失事故やその他の異常時に、エンジン出力を制御することで機体を安全に操縦する技術も開発されています。これにより、通常の操縦ができない状況でも、しっかりとした着陸が可能となります。

アームストロング飛行研究センターは、航空技術の最前線で様々な実験や研究を行い、航空業界に革新をもたらし続けています。

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