イアン・ポコック

イアン・ポコックは、1958年8月16日生まれのイギリス人エンジニアです。ウェールズ大学、クランフィールド工科大学で工学と機械工学を学び、博士号を取得しました。

彼のキャリアは、自動車業界、特にF1の世界で輝きを放ちます。1987年からクランフィールド工科大学在学中より、ベネトンの設計チームにコンサルタントとして関与。その後、1990年にレイナードに入社し、F1プロジェクトに開発エンジニアとして参加します。

1991年にはリジェに移籍し、JS35の開発に携わりました。そして1992年から1996年にかけては、フェラーリ・デザイン・アンド・デベロップメント(FDD)に所属。ジョン・バーナード率いる設計チームの一員として、412T1、412T2、F310、F310Bといった名車の開発に貢献しました。1994年から1997年には、マラネッロのチームに帯同し、シャーシの研究開発責任者を務めました。

1998年には、ティレルの設計製造部門のプロジェクトに関わり、1999年にはホンダ・RA099のビークル・サイエンス責任者を務めました。彼はイタリア語に堪能であり、この経験が国際的なキャリアを築く上で大きく役立ったと考えられます。

その後、ポコックはPiリサーチ社で活躍します。同社は、1986年設立で、1999年にフォードに買収されたコスワースのエレクトロニクス部門を擁する企業でした。ポコックは、フォード・ラリーカーエレクトロニクス・プログラムのプログラムマネージャー、そしてエンジニアリングディレクターとして、データロガーやエンジンコントロールユニットの開発に貢献しました。

2003年3月、ジャガーF1のエンジニアリングディレクターに就任。チームがレッドブルに買収された後も、レッドブル・レーシングに残って引継ぎを担当しました。

レッドブル離脱後は、Cosworth Ltd.でエンジニアリングディレクターを務めた後、航空宇宙産業へと転身します。2007年から2009年まではオーガスタウェストランドヘリコプター(現レオナルド・ヘリコプター)のプログラム管理に携わり、その後、セレックス・コミュニケーションズ、ボーイング・エアロスペースでプログラムマネージャーとして10年以上に渡り活躍しました。

彼のキャリアにおいて注目すべき点は、F1における成功体験のみならず、航空宇宙産業へのスムーズな移行です。これは、彼の高い専門性と多様な経験、そして国際的な視野の広さを示しています。 ポコックのキャリアパスは、エンジニアリング分野におけるリーダーシップと適応能力の高さを物語るものです。長年にわたる経験と実績は、次世代のエンジニアにとって貴重なロールモデルとなるでしょう。 また、デビッド・ピッチフォースと複数の職場を共有していた時期もあり、その連携も興味深い点です。

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