イイデトリカブト

イイデトリカブトについて

イイデトリカブト（学名：Aconitum iidemontanum）は、キンポウゲ科トリカブト属に属する植物で、主に日本の飯豊山地に自生しています。この植物は疑似一年草で、有毒性を持つため取り扱いには注意が必要です。1999年には新種として記載されましたが、現在はその分布に対する保全が求められています。

特徴

イイデトリカブトは、地中に塊根が形成され、倒卵形をしており、その大きさは長さ5-10cm、径1-3.5cmに達します。成長した茎は斜上に伸び、高さは120-200cmに至ります。茎の先端は垂れ下がり、中間部からは3-10回分枝しますが、分枝は広く広がります。この植物の根出葉は、花が咲く時期には枯れてしまうことが多く、しばしば確認できません。

茎葉は中部に位置し、葉柄は4-8cmの長さです。葉自体は膜質からやや革質であり、形状は腎円形で、長さ9-17cm、幅8-15cmの大きさがあります。掌状に5-9に中裂し、基部から切れ込んでいるのが特徴です。裂片は形状が倒卵形または菱形で、長さは2.5-6cm、幅は6-9cmほどで、先端部は鈍頭です。

花期は8月から9月にかけてで、この時期には1つの花序に1-6個の花が付き、総状花序は4-18cmの長さに成長します。花柄は3-6cmで、開出毛があり、上部には腺毛が混じったりします。主に青紫色、暗紫紅色、淡青紫色の花を咲かせ、花のサイズは3.5-4.5cmです。花弁のように見える部分は実際には萼片で、構成は上萼片1個、側萼片2個、下萼片2個の合計5個から成ります。

果実は楕円形で、袋果形式で長さ20-30mmほどになります。種子は三角錐状で長さ4mm程度です。なお、イイデトリカブトは染色体数が2n=16の二倍体種であり、これも種の特性の一つです。

分布と生育環境

この植物は日本の固有種であり、主に東北地方南部の飯豊山地、月山、朝日山地などに分布しています。これらの地域では温帯林から亜寒帯林の林縁、草地や渓流沿いで見られます。また、月山と朝日山地では、本種がガッサントリカブトと同所的に生息しています。環境に適した場所で円滑に成長しており、特に山地の湿った場所を好みます。

名前の由来

和名のイイデトリカブトは、1999年に門田裕一によって提案されました。タイプ標本は山形県の飯豊山地に位置する門内岳近くの水場で採集されたものです。種小名の「iidemontanum」は、飯豊山に由来し、その地域に生育することを示しています。

種の保全状況

イイデトリカブトは、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧IA類（CR）に分類されています。山形県においても同様の評価がなされており、絶滅のおそれがある種として特に保護が求められています。このため、2020年には国内希少野生動植物の一つとして指定され、採取や損傷が法律によって禁止されています。

分類

イイデトリカブトは、トリカブト属の中でサンヨウブシ節に分類され、他の日本産種と同様に温帯地域に分布しています。この節には、サンヨウブシやガッサントリカブトのような共通の特徴を持つ種がいくつか存在し、葉の形状や花の構成などに類似点が見られます。
イイデトリカブトは特に1999年の新種記載以降は、その生態や分布の研究が進められ、さまざまな知見が蓄積されてきました。

このように、イイデトリカブトは美しい花を持ちながらも、その貴重性から保護が必要な存在です。

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