イエスソングス

『イエスソングス』（Yessongs）は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、イエスが1973年に発表した初の公式ライブ・アルバムです。3枚組という大作であり、バンドの勢いを凝縮した作品として、現在も多くのファンに愛されています。

制作の背景

本作は、前作『危機』の制作終了後、ドラマーのビル・ブルーフォードがキング・クリムゾンへの加入を決意したという状況下で生まれました。ブルーフォードの脱退表明を受け、イエスは急遽、後任として元プラスティック・オノ・バンドのアラン・ホワイトを迎え、アルバム『危機』のツアーに臨むことになります。

収録内容と特徴

『イエスソングス』には、アラン・ホワイト加入後の『危機』ツアーからの音源が収録されています。ただし、「パーペチュアル・チェンジ」と「遥かなる思い出 / ザ・フィッシュ」の2曲は、前作『こわれもの』のツアーからの音源であり、ビル・ブルーフォードの演奏を聴くことができます。アルバムには「全トラックは1972年のツアーで録音された」としか記載されておらず、詳細な録音データは不明です。

アルバムの冒頭を飾る「オープニング」は、小澤征爾指揮ボストン交響楽団によるストラヴィンスキー作曲「火の鳥」のテープを再生したものです。この荘厳なオープニングが、ライブへの期待感を高めます。

チャート成績と評価

本作は、『こわれもの』と『危機』というイエスの代表作のツアーからの音源を収録していることもあり、高い評価と商業的成功を収めました。イギリスでは3枚組LPで高額にもかかわらず、アルバム・チャートで7位まで上昇しました。

収録曲

オリジナルは3枚組LPとして発売されましたが、CDでは収録時間の都合上、2枚組に再構成されています。

ビデオ版

アラン・ホワイトを含む新編成による演奏を収録した同名のライブ・ビデオもリリースされています。映像にはロジャー・ディーンのイラストをモチーフにしたアートワークが施され、視覚的にも楽しむことができます。DVDやBlu-ray Discには、1972年12月15日・16日にロンドンのレインボー・シアターで行われたクリスマス・コンサートの模様が収録されています。

『イエスソングス』は、イエスのライブパフォーマンスの魅力を余すところなく伝える作品であり、彼らの音楽的才能とステージでのエネルギーを体感できる、ファン必携のアルバムと言えるでしょう。

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