イエメン内戦 (2015年-)

イエメン内戦の概要

2015年以降、イエメンでは、複数の勢力がぶつかり合う内戦が続いています。中心となるのは、アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領の暫定政府、ムハンマド・アリ・アル・フーシが指導するフーシ派、そしてアラビア半島のアルカーイダ傘下のアンサール・アル・シャリーアの3つです。

イエメン内戦は、政権を巡る対立から始まり、外部勢力の介入によってさらに複雑化しています。2017年8月の時点で、戦闘による死傷者は約5万人に達し、200万人以上が国内で避難生活を強いられる状況に陥りました。また、戦闘の影響で水道や医療システムが機能不全に陥り、コレラなどの感染症が蔓延するという二次的被害も拡大しています。

この内戦はスンニ派のサウジアラビアがハーディ大統領政権を支援し、イランがフーシ派を支えるという代理戦争の側面も持っています。その結果、2020年までには犠牲者が10万人を超え、国連はこの状況を「世界最悪の人道危機」と表現しました。2022年には、200万人以上が故郷を離れて生活を余儀なくされています。

内戦の展開

内戦は複雑な状況で推移しています。ハーディ大統領が主導する暫定政府は南部のアデンを中心とした地域を実効支配しており、フーシ派は首都サナアなど北西部を握っています。また、サウジアラビアなどのスンニ派連合軍は、ハーディ政権を支援しながらフーシ派に対する空爆を実施しています。一方、フーシ派はイエメン軍から接収した兵器や、イランから供給された弾道ミサイルを使用して、サウジアラビアに対抗しています。

その後、2017年には南部暫定評議会（STC）が設立され、アラブ首長国連邦の支援を受ける形でさらに南部での自治を宣言しました。これにより内戦は一層複雑な様相を呈しています。

背景と原因

フーシ派は2004年に北部で反発を始め、その後のアラブの春においても地元の反政府運動に便乗して勢力を拡大しました。2011年のイエメン騒乱によって、長期にわたる独裁体制が崩れ、ハーディ氏が大統領に就任した後も政治的な対立は続きました。2014年にはフーシ派がサナアを占拠し、ハーディ大統領を辞任に追い込みました。

このような背景を持つイエメン内戦は、地域の経済や社会に深刻な影響を及ぼしていることが明らかです。国際連合を含む多くの国が、これらの影響を受けた人々への人道支援を行っていますが、依然として解決の糸口は見えていません。特に、幼い子供たちへの影響が懸念されており、栄養不足や医療不足の問題は深刻化する一方です。

今後の展望

2022年に一時的な停戦が実施され、少しでも平穏を保つ動きが見られるものの、長期的な解決に向けた道のりは険しいといえます。指導部交代や外部圧力が今後の状況にどう影響を与えるのか、国際社会の関与が求められています。

このイエメンの内戦は単なる地域の衝突を超え、国際的な関心を集め続ける問題であることを認識する必要があります。

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