イガエル・ヤディン

イガエル・ヤディンの生涯と業績

イガエル・ヤディン（Yigael Yadin、1917年3月20日〜1984年6月28日）は、イスラエルを代表する軍人、政治家、考古学者として多岐にわたる業績を残した。彼は第2代イスラエル国防軍参謀総長を務め、メナヘム・ベギン首相の内閣では副首相としても活躍した。さらに、彼は考古学者として重要な遺跡の発掘に関与し、イスラエルの歴史の深淵を探求した。

軍人としてのキャリア

ヤディンはオスマン帝国支配下のエルサレムで生まれ、15歳のときにユダヤ自衛軍であるハガナーに参加した。彼の本名はイガエル・スケーニクであり、1939年以降はイギリス当局から逃れるために「ヤディン」の名前を使い始める。1946年にはハガナーの司令官ヤーコブ・ドリの助手として抜擢され、以後彼の軍人としてのキャリアは急速に展開された。

1947年のイスラエル独立宣言直前に、彼は再び軍に呼び戻され、1948年のアルタレナ号事件ではベン・グリオンの命令で武器密輸船への突入を指揮した。第一次中東戦争では重要な役割を果たし、1949年にはイスラエル国防軍の参謀総長に就任。職業軍人、予備役、徴兵制度による組織を整備し、軍の基盤を構築した。1952年にはベン・グリオン首相との対立により辞任し、軍を退役した。

考古学者としての活動

退役後、ヤディンは父親の影響もあり考古学者としての道を歩み始めた。彼は1956年に死海文書に関する博士論文を執筆し、イスラエル賞を受賞。また、主要な遺跡を掘り起こし、クムランやメギド、ハツォールなどの発掘調査を指揮した。ナハル・ヘヴェルの洞窟では歴史的な手紙や生活用具を発見し、考古学界において名を馳せることとなった。

彼は考古学の仕事を進める中で、政治の動きにも関与していた。第三次中東戦争の前には首相の軍事顧問に任命され、また第四次中東戦争後にはアグラナト委員会に加わり、戦争による政府の失策を追及した。

政治家としての役割

1977年、ヤディンは新政党「変化のための民主運動」を設立し、国民の支持を受けてクネセトでの議席を獲得した。この政党は、当時の労働党政権への国民の不満から誕生したものであり、ヤディンは清廉で理想的なイスラエル人としての象徴的存在となった。同年の総選挙では、彼の党は好成績を収め、リクードとの連立を組むことで新たな政権を樹立した。

副首相として、ヤディンはエジプトとの平和に向けた重要な決定に関与し、キャンプ・デービッド合意を推進したが、その後の政党の分裂や1981年の総選挙での敗北に伴い、彼は政治からの引退を表明した。

結び

1984年にハデラで亡くなったイガエル・ヤディンの業績は、軍人として、また考古学者としてイスラエルの歴史に深く刻まれている。彼の生涯は、国家の形成、文化の発展、そして歴史への探求心に満ちたものであった。

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