イギリスの音楽

イギリスの音楽の歴史

イギリスの音楽は、多様な影響を受けつつ独自に発展してきました。イギリスはグレートブリテン諸島に位置し、ヨーロッパの音楽文化に深く根付いていますが、その中でも特異な音楽ジャンルが存在します。特にスコットランドのバグパイプ音楽や、童謡、クリスマスキャロル、民謡などが日本でも広く知られています。

中世イギリスの音楽

11世紀以降、ソールズベリー聖歌が特に発展し、イギリス国教会の成立に寄与しました。また、13世紀末には「夏は来りぬ（Sumer is icumen in）」が現存する世界最古のカノンとして知られるようになります。13世紀には、フランスのカロルという舞曲がイギリスに伝わり、その流れの中で多くのキャロルが作られました。キャロルと呼ばれる楽曲は、500編以上の歌詞と100曲を超える旋律が残されています。

この時期には3度や6度和音を利用した多声音楽が開発され、百年戦争を経てイギリスと大陸の音楽家の交流が始まりました。この時代の重要な作曲家には、リオネル・パワーとジョン・ダンスタブルがいます。ダンスタブルは独自の和音技法を大陸に広め、イギリスに新しい技法を持ち込む重要な役割を果たしました。

ルネサンス音楽

テューダー朝のヘンリー8世（1491年 - 1547年）が王位につく頃、音楽活動は再び活気を帯びます。彼の治世には、イートン聖歌隊本と呼ばれる宗教音楽の資料が残されており、ヘンリー8世自身も合唱曲『Pastime with Good Company』などを作曲しました。

この時期、トマス・タリスやウィリアム・バードといった作曲家が登場し、カトリックとイギリス国教会両方の曲を手がけました。特にバードは、カトリックでありながらラテン語のミサ曲を残し、この時代の必聴の作品を数多く生み出しました。シェイクスピアの作品の中にもトマス・モーリーの世俗音楽が登場し、ジョン・ダウランドによる優れたリュート作品も広く知られています。

エリザベス朝時代には、イタリアのマドリガーレに影響を受けたイングリッシュ・マドリガルが次々と作曲され、トムキンズやギボンズといった作曲家がこの流行を牽引しました。ルネサンス後期のイギリスで器楽音楽が顕著に発展したことも重要です。

バロック音楽と古典派

ヘンリー・パーセル（1659年 - 1695年）はバロック音楽時代におけるイギリスの重要な音楽家で、短い生涯の中でイタリアやフランスの影響を受けながら独自の音楽を確立しました。彼の死後、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル（1685年 - 1759年）がイギリスに移住し、古典派音楽の前触れとなる作品を生み出しました。

古典派以降の時代には、アーサー・サリヴァンやエドワード・エルガーといった作曲家が登場し、イギリスのクラシック音楽はさらなる発展を遂げました。彼らの作品は今もなお演奏されており、イギリス音楽のアイデンティティを確立する音色となっています。

現代の音楽シーン

イギリスは、指揮者や演奏家が多く活躍しており、著名なオーケストラも多数存在します。それにより、歴史的な作品から現代の作品に至るまで、多様な音楽が日々演奏されています。この豊かな音楽文化は、今後もイギリス音楽の発展に寄与し続けることでしょう。

もう一度検索