イギリス軍政下のリビア

イギリス軍政下のリビア

イギリス軍政下のリビア（1943年～1951年）は、第二次世界大戦中に連合国が旧イタリア領リビアを占領した後、キレナイカとトリポリタニア地域がイギリスの統治下に入った時代を指します。この時期は、リビアが独立を果たすまでの重要な過渡期でした。

歴史的背景

1942年11月、連合国軍はキレナイカを奪還し、1943年2月までにリビアからドイツ軍とイタリア軍を完全に排除しました。これにより、連合国によるリビアの占領が開始されました。トリポリタニアとキレナイカはイギリスの統治下に置かれ、フェザーンはフランスが統治しました。

1944年、イドリース1世は亡命先のカイロから帰国しましたが、1947年に外国の支配が一部解除されるまで、キレナイカでの永住を断念せざるを得ませんでした。1947年の連合国との平和条約により、イタリアはトリポリタニアに対する植民地としての要求を放棄し、フランスもフェザーンに対する要求を放棄しました。これにより、リビアは統一を維持することができました。

反ユダヤ人暴動とユダヤ人の移住

北アフリカが連合国によって解放された後の1945年11月、トリポリタニアで反ユダヤ人暴動が発生し、130人以上のユダヤ人が殺害されました。1948年6月には、リビアの反ユダヤ暴徒がさらに12人のユダヤ人を殺害し、280戸のユダヤ人住宅を破壊しました。これらの攻撃により、ユダヤ人の間に恐怖と不安が広がり、イスラエル建国も重なり、多くのユダヤ人がリビアから脱出しました。1948年から1951年にかけて、30,972人のリビア系ユダヤ人がイスラエルに移住しました。1970年代には、残りのリビア系ユダヤ人（約7,000人）がイタリアに疎開しました。

リビアの将来をめぐる議論

イタリア植民地の処分は、対イタリア戦争を正式に終結させる平和条約の締結前に検討されるべき問題でした。リビアはイギリスとフランスの統治下にありましたが、1945年のポツダム会談で連合国（イギリス、ソ連、アメリカ）は、戦争中に奪取したイタリア植民地をイタリアに返還すべきではないとの意見で一致しました。この問題の検討は、フランス代表を含む連合国外相理事会に委ねられました。

当初、すべての理事国が何らかの信託統治に賛成していましたが、リビアの処分方法については意見が分かれました。アメリカは、国際連合の管理下で全土を信託統治し、自治を準備することを提案しました。一方、ソ連はトリポリタニアを自国、フェザーンをフランス、キレナイカをイギリスとする地方信託統治を提案しました。フランスはイタリアへの領土返還を主張しました。この状況を打開するために、イギリスはリビアの即時独立を勧告しました。

キレナイカ首長国の成立とリビア独立

1949年、キレナイカ首長国が成立し、トリポリタニアだけがイギリス軍の直接統治下に置かれることになりました。1950年には軍事政権から文民政権に移行しました。キレナイカ首長でイスラム教スーフィー派サヌーシー教団の指導者であるイドリース・アス・サヌーシーは、リビアを代表して国連交渉に参加し、1951年12月24日にリビアは独立を宣言しました。

独立後のリビア

1951年、キレナイカ、トリポリタニア、フェザーンの代表が連合を宣言し、国をリビア連合王国と呼ぶことになり、イドリース1世が国王として即位しました。新国家は、キレナイカ、トリポリタニア、フェザーンの3州が自治権を持つ連邦政府でした。王国にはトリポリ、ベンガジ、アルバイダの3つの首都がありました。独立から2年後の1953年3月28日、リビアはアラブ連盟に加盟しました。リビアは国連を通じて独立を果たした最初の国であり、アフリカで最初に独立を果たした旧ヨーロッパ植民地の国の一つでもあります。

関連項目

* イタリア領リビア

もう一度検索