イギリス鉄道374形電車

374形、別名「ユーロスターe320」は、イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ高速列車ユーロスターで運用されている動力分散式の電車です。最高速度は320km/hに達し、その設計はシーメンス製の高速電車「ヴェラロ」の規格を採用しています。この列車は、ロンドン・パリ・ブリュッセル間といった主要都市間輸送に加え、オランダやドイツへの直通運転にも対応できるように設計されており、国際的な鉄道輸送ネットワークにおいて重要な役割を担っています。2015年からは、既存のユーロスター路線の輸送力増強を目的として導入されました。

設計

374形の設計は、シーメンスがICE 3をベースに開発した高速鉄道車両「ヴェラロ」シリーズのヴェラロDが基盤となっています。この設計は、英仏海峡トンネルを含む国際列車としての運行に必要な安全基準や設備要件を満たしています。同様に、ドイツ鉄道もICEの一員として、ヴェラロDをベースとした英仏海峡トンネル対応型の407形を導入しており、ヴェラロの設計が国際的な高速鉄道網において広く採用されていることがわかります。

ユーロスター社は、新型車両の導入に7億ポンドという巨額の投資を行い、競争入札の結果、シーメンスへの発注を決定しました。英仏海峡トンネルの安全基準に適合させるため、374形は中間部で8両ユニット2本に分割可能な16両編成として設計されました。これは、トンネル内での事故発生時における乗客の避難を容易にするための措置です。373形が両端に動力車を配置した準動力集中方式を採用していたのに対し、374形では電動車と付随車の比率をほぼ半々とした動力分散方式が採用されています。これにより、加速性能の向上、軸重の軽減、メンテナンスの効率化が図られています。

運用

374形は、ロンドンのセント・パンクラス駅を起点として、パリ北駅やブリュッセル南駅を結ぶ主要路線に投入されています。さらに、アムステルダム、フランクフルト、ケルンといった都市への乗り入れも計画されており、ヨーロッパ大陸における高速鉄道ネットワークの拡大に貢献することが期待されています。特に、ロンドンとアムステルダムを結ぶ列車の運行は2016年12月より開始され、ビジネスや観光目的での利用者に利便性を提供しています。

2015年11月20日からは、英仏海峡トンネルを通過する認可が下りたことを受けて、限定的な営業運転を開始しました。当初の計画では、アムステルダムへの運行も同時期に開始される予定でしたが、最終的な運行開始は2016年12月から2017年初旬にずれ込みました。これは、運行開始前の最終的な安全確認や調整に時間を要したためと考えられます。

アニメ作品への登場

374形は、「新幹線変形ロボ シンカリオン」の52話に登場しました。しかし、製作陣がユーロスターイタリアと誤認したためか、走行地域がイタリアとして描写されるというミスがありました。これは、ユーロスターという名称が複数の国で運行されている高速列車を指すため、混同が生じた可能性があります。

脚注

ヴェラロ
イギリス国鉄373形電車
* ユーロスター

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