イギリス鉄道802形

802形（Class 802）概要

802形は、日立製作所が製造したイギリス向けの高速鉄道車両です。この車両は、電化区間と非電化区間の両方を走行できるバイモード車として設計されており、イギリスの鉄道網における柔軟な運用を可能にしています。2018年8月20日にグレート・ウェスタン・レールウェイ（GWR）で営業運転を開始して以来、ハル・トレインズ（Hull Trains）やトランスペナイン・エクスプレス（TransPennine Express）などの鉄道会社でも導入されています。

802形は、同じく日立製作所が製造した800形をベースに開発されました。電化区間では架線から集電し、非電化区間では床下に搭載されたディーゼルエンジンで発電機を動かして走行します。これにより、電化されていない区間でも高速走行が可能になり、従来のインターシティー125などの高速列車を置き換える役割を担っています。

800形との主な違いは、ディーゼルエンジンの出力向上（560kWから700kWへ）と、燃料タンクの大型化です。これらの改良により、非電化区間での長距離運転に適した性能を備えています。

運用

グレート・ウェスタン・レールウェイ

GWRは、都市間高速鉄道計画（IEP）の一環として、電化区間用の801形とバイモード車の800形を導入しました。しかし、電化区間の終点となるブリストル・テンプル・ミーズ駅より先の非電化区間（デヴォンやコーンウォール方面）への直通運転のため、より長距離輸送に適したバイモード車の導入を決定しました。それが802形です。

最初の編成は、日立製作所笠戸事業所で製造され、2017年8月9日から走行試験が行われました。そして、2018年8月20日に営業運転を開始しました。最終的に、5両編成22本（802/0形）と9両編成7本（802/1形）が導入される予定です。当初は同年7月16日に営業運転を開始する予定でしたが、延期されました。

ハル・トレインズ

ハル・トレインズは、既存のアルストム製180形気動車の信頼性の低さを改善するため、802形（802/3形）の導入を決定しました。5両編成5本が導入され、2019年11月には塗装が発表され、一般公開されました。翌12月5日には営業運転を開始しています。これらの列車には、「手本」「模範」を意味し、ハル・トレインズのターミナル駅の名称の由来にもなった「パラゴン」（Paragon）という愛称が付けられています。

トランスペナイン・エクスプレス

トランスペナイン・エクスプレスは、2016年に日立製作所との間で802形（802/2形）の納入計画を締結しました。2018年4月20日には、笠戸事業所で製造された最初の編成が日本からイギリスに向けて出荷されました。2019年9月30日から営業運転を開始し、最終的に5両編成19本が導入される予定です。

トランスペナイン・エクスプレスでは、新しく導入する列車に「Nova（ノヴァ）」という愛称を付けており、802形は「Nova 1」と呼ばれています。

関連項目

その他イギリス向けA-train

385形電車（AT200）
395形電車（AT300）
800形バイモード車（AT300）
801形電車（AT300）
803形電車（AT300）
810形バイモード車（AT300）

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