デヴォン

デヴォンについて

デヴォン（Devon）はイングランド南西部にある地域で、郡名としてのデヴォン州も広く知られています。この地域はコーンウォール半島の中心部に位置し、西側はコーンウォール、東側はドーセットとサマセットに接しています。かつては「デヴォンシャー」と呼ばれていましたが、現在の名称は主に行政的な背景から来ています。地名の「Devon」は、約西暦50年頃にこの地に入ったローマ人が、現地のケルト人を指して名付けたものです。彼らは「Dumnonii」と呼ばれ、その意味は「深い谷に住む者たち」とされています。さらに、デヴォンの名前に由来する地質時代「デボン紀」は、この地域で初めて研究されたことから命名されました。

歴史

デヴォンの歴史は古く、約紀元前6000年頃には既に定住者がいたとされています。紀元前3500年頃からは農業の痕跡も見つかっており、1世紀にはローマ人が南部にエクセターという集落を形成し、その後247年にわたり定住を続けました。5世紀からはゲルマン系民族の移住が始まりましたが、7世紀初頭には本格的な進出が行われました。その後、ウェセックスとの小規模な戦闘を経て統合されました。

地理・地質

デヴォンは、イングランドで二つの異なる海岸線をもつ唯一の州です。ダートムーア国立公園やエクスムーア国立公園など、自然豊かなエリアも多く、起伏に富んだ田園風景が広がっています。南部の海岸にはトーキーなどの人気リゾートがあり、エクスマスはユネスコの世界遺産であるジュラ紀海岸の西端に位置しています。北部には多様な生態系が広がっており、アカシカやタイセイヨウサケ、ユーラシアカワウソなどが生息しています。デヴォンの気候は北大西洋海流の影響を受け、温暖であり雪は少ないのが特徴です。年間降水量は地域によって異なり、ダートムーア周辺では約2000mm、南部では約750mmです。

旗

デヴォンには独自の旗があり、これは聖ペトロックに捧げられています。緑地に黒で縁取られた白い十字架のデザインで、2003年にBBCデヴォンのオンライン投票で選ばれました。

経済

歴史的には、デヴォンは漁業や鉱業、農業といった伝統的な産業が根付いていましたが、20世紀以降は観光業やサービス業にシフトしています。特に、イギリスのEU離脱の影響を受け、それ以前には多くの地域がEUの支援対象とされていました。2001年の口蹄疫問題は地元農業に打撃を与え、その影響は広範囲に及びましたが、温暖な気候は金融業などの新たな産業の誘致に寄与しています。

食文化

デヴォンの名物と言えば、クリームティーです。紅茶とスコーンにデヴォン産のジャムとクロテッドクリームを添えたこのデザートは、観光客にも人気です。

市町村

デヴォン州には主要な市町村が数多く存在します。例えば、アクスミンスター、エクセター、トーキー、プリマスなど、個性豊かな街が点在しています。

著名人

デヴォンは多くの著名人を輩出しています。海の冒険家フランシス・ドレークや探検家ロバート・スコット、詩人サミュエル・テイラー・コールリッジ、推理小説家アガサ・クリスティなど、さまざまな分野で活躍した人々がいます。音楽の世界でも、ロックバンド「ミューズ」のメンバーやジョス・ストーンがデヴォン出身です。

デヴォンは歴史、自然、美食、文化が融合した魅力的な地域であり、多くの観光客を惹きつけています。その豊かな自然環境や多様な文化、そして温暖な気候は、訪れる人々にとって忘れられない体験をもたらすことでしょう。

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