インターシティー125

インターシティー125 (InterCity 125)

インターシティー125は、1976年にイギリスで運行を開始した高速ディーゼル列車のブランド名で、HST（High Speed Train：高速列車）とも呼ばれています。イギリス国鉄のHST計画によって開発された特急車両であり、その「125」という数字は、最高運転速度である時速125マイル（約200km/h）に由来します。

概要

インターシティー125は、無煙・非電化での時速200km運転を世界で初めて実現した列車です。これは、当時の鉄道技術において画期的なものでした。この高速列車は、イギリスの主要都市間を結び、ビジネスやレジャーでの利用に大変人気がありました。

運用

1976年にウェスタン・リージョンに253形が投入され、翌1977年の夏季ダイヤ改正では、ブリストルや南ウェールズ方面の機関車牽引の優等列車をすべて置き換えました。1978年5月からは、イーストコースト本線で「フライング・スコッツマン」などの優等列車にも就役し、ロンドン - エディンバラ間の所要時間を最大1時間短縮しました。

その後、インターシティー125は路線網を拡大し、1995年にはイギリス国内のすべての幹線を走るようになりました。これにより、ロンドンの各ターミナル駅と主要都市が日帰り圏内となり、1時間に1本の高頻度運転によって利便性が向上し、ビジネスとレジャー両面での利用者に広く支持されました。

1995年当時のロンドンと主要都市間の所要時間は以下の通りです。

バーミンガム - 1時間40分
マンチェスター - 2時間40分
リヴァプール - 2時間50分
オックスフォード - 1時間
ケンブリッジ - 1時間20分
ブリストル - 1時間25分
ブライトン - 1時間
カーディフ - 1時間55分
プリマス - 3時間30分
シェフィールド - 2時間30分
グラスゴー - 5時間20分

ユーロスターの登場後は、ウォータールー駅を発着する列車と接続するようになり、国際的なネットワークにも組み込まれました。

車両

インターシティー125は、43形ディーゼル機関車2両と、マーク3客車6両から9両で構成される固定編成です。機関車には、1両あたり2250hpのパックスマン製V型12気筒ディーゼルエンジンが搭載されています。当初は準動力集中式の気動車として253形・254形と呼ばれていましたが、後に機関車が43形、客車がマーク3に改称されました。一部の機関車は、後にMTU製のエンジンに換装されました。

客車内は開放式座席で、1等車は1列3人掛け、2等車は1列4人掛けです。窓を挟んで向かい合う座席の間にはテーブルが設置され、快適な移動空間が提供されています。

イギリス国鉄民営化後も、多くの鉄道運行会社やリース会社で使用されています。また、イギリスの線路を管理するネットワーク・レールは、HSTを改造した軌道検測車NMT（イギリス版ドクターイエロー）を保有しています。

さらに、オーストラリアのニューサウスウェールズ州では、インターシティー125をベースとしたXPT（eXpress Passenger Train）が運行されています。

置き換え

東海岸本線の電化区間では、次世代のインターシティー225に運用を譲り、インターシティー125は非電化区間を中心に運行されるようになりました。2000年代に入ると、アルストム製の175形や180形、ボンバルディア製の220形、221形、222形といった新型気動車が登場しましたが、インターシティー125も2010年代に入っても第一線で活躍し続けました。

しかし、都市間高速鉄道計画に伴い、日立製作所製の800形および801形が投入されると、グレート・ウェスタン本線では2019年にロンドン・パディントン駅を発着する列車から撤退し、東海岸本線でも置き換えが進みました。現在では、一部の編成がスコットレイルに転属し、短縮編成で運用されています。

参考文献

三浦幹男・原口隆行『世界のスーパーエクスプレス』JTB(1995年)：ISBN 9784533022326

関連項目

* インターシティー225

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