イギリス陸軍の編成

イギリス陸軍の編成

イギリス陸軍は、複雑かつ多層的な組織構造を持ち、様々な部隊と兵科から構成されています。その編成は、作戦司令部、野戦軍、地域軍の3つの主要な構成要素に大別されます。

作戦機関

イギリス陸軍の最高作戦司令部は、陸軍司令部です。ハンプシャー州アンドーヴァーのマールボロ宿営地に位置し、かつて地上部隊司令部と呼ばれていました。2011年の改編により、陸軍総司令官から陸軍参謀総長への指揮系統変更が行われています。

野戦軍

野戦軍は、即応性と作戦遂行能力を重視した部隊の集合体です。ウィルトシャーのトレンチャード宿営地に司令部を置き、平時と有事の両方に備えた編成と訓練を担当しています。現在、2021年3月に発表された「フューチャーソルジャー」計画に基づく大規模な再編計画が進められており、2025年の完了を目指しています。

この計画に基づく野戦軍の構成は、野戦軍司令部、野戦軍部隊、サイバー・電磁波活動影響群、情報監視偵察群、複数の旅団戦闘団（空中強襲、軽機械化、装甲など）、医療群、工兵群、作戦維持旅団、憲兵群、特殊作戦旅団など多岐に渡ります。これらの部隊は、イギリス本土および海外展開を視野に入れた編成となっています。各部隊の駐屯地は、ハンプシャー州、ウィルトシャー州、エセックス州、ノース・ヨークシャー州、ラトランド州など、イギリス各地に分散しています。

地域軍

地域軍は、非常勤の国防義勇軍を中心とした部隊で、野戦軍と異なり、主に非戦闘任務や国内治安維持、儀仗任務などを担っています。地域軍は、地域軍本部、複数の師団、旅団、および大都市圏や海外駐留部隊の支援部隊などで構成されています。スコットランド、北アイルランド、イングランドの各地に師団が配置され、地域ごとの防衛や治安維持に貢献しています。また、ドイツ駐留軍への支援部隊なども地域軍に含まれます。

兵科

イギリス陸軍の兵科は、騎兵、歩兵、砲兵、工兵、通信隊、陸軍航空隊、兵站部隊、医療部隊、電子・機械技術部隊、人事・訓練部隊、情報部隊、軍楽隊など多岐に渡ります。これらの兵科はそれぞれ独自の役割と専門性を持ち、陸軍全体の作戦能力を支えています。

騎兵

騎兵は、歴史的な名称を継承していますが、現代においては戦車や装甲偵察車などを運用する部隊です。王室騎兵隊と王立装甲軍団に所属する複数の連隊から構成され、偵察、戦車運用、NBC防護などを担っています。近衛騎兵連隊は、儀仗任務も兼任しています。

歩兵

歩兵は、近衛師団、複数の師団、そして特殊部隊などで構成されています。師団は、主に新兵募集や訓練を担当する組織で、戦闘組織としての師団とは異なります。歩兵連隊は連隊本部と複数の歩兵大隊から構成され、装甲歩兵、機械化歩兵、軽歩兵など、様々な任務をローテーションで遂行していましたが、再編後は固定任務制に移行しています。近衛歩兵は、儀仗任務も重要な役割です。

砲兵

砲兵は、王立砲兵連隊に所属する複数の連隊から構成され、自走砲、榴弾砲、地対空ミサイルなどを運用し、火力支援、対空防衛などを担っています。王立騎馬砲兵は、儀仗任務も兼任しています。

国防義勇軍

国防義勇軍は、予備役部隊として、様々な任務を担っています。多くの部隊が、各兵科の現役部隊と連携して訓練や支援活動を行っています。

この説明は、イギリス陸軍の編成の全体像を理解する上で役立つ情報を提供することを目指しています。しかし、イギリス陸軍の組織構造は複雑で、常に変化しているため、この説明が完全なものではないことをご理解ください。より詳細な情報は、イギリス陸軍の公式ウェブサイトなどを参照してください。

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