ラトランド

ラトランドは、イギリスのイースト・ミッドランズ地方に位置する典礼カウンティです。別名ラトランドシャーとしても知られ、北と西をレスターシャー、北東をリンカンシャー、南西をノーサンプトンシャーとそれぞれ境を接しています。州の中心となる町はオーカムで、面積は約382平方キロメートル、人口は4万人強です。この規模から、ラトランドはイングランドにおいて、シティ・オブ・ロンドンに次いで2番目に小さな典礼カウンティとして位置づけられています。州議会のモットーはラテン語で「Multum in Parvo」、これは「小さいが中身は多い」という意味であり、その特徴をよく表しています。

地理的には、ラトランドは全体的にゆるやかな丘陵地帯が広がっており、コールド・オバートン・パークにある最高地点でも標高は197メートルに留まります。州内の大部分はのどかな農村風景が中心ですが、西部にはオーカムとアッピンガムという二つの主要な町があります。これら二つが州内に存在する唯一の町であり、東部ではケトン村が最大の集落となっています。州の中央部には、1970年代に造成された広大な人造湖であるラトランド湖が横たわっています。この湖は現在、自然保護区として指定されており、冬には多くのカモが越冬のために集まり、またミサゴの繁殖地としても重要な役割を果たしています。州内の古い家屋に見られる特徴として、地元産の石灰岩や鉄鉱石が建材として多用されている点が挙げられます。屋根にはコリーウェストン・ストーン・スレートや茅葺きが用いられ、伝統的な景観を形成しています。

ラトランド地域の歴史は古く、先史時代の明確な痕跡は少ないものの、ケトンの西で大規模なローマ風のモザイク画や農場跡が発見されていることから、古代ローマ時代には既に人が定住し始めていたと考えられています。5世紀になるとアングル人が到来し、この地はマーシア王国の一部となりました。カウンティとして独自の存在が記録に現れるのは1179年が最初ですが、その以前、ドゥームズデイ・ブックが編纂された時点では、ノッティンガムシャーやノーサンプトンシャーの一部として扱われていました。中世盛期には、ラトランドはまだ大部分が森林に覆われており、貴族たちの狩猟場として利用されていました。この狩猟の伝統は、今日でもコッテスモア・ハントなどの狩猟グループの活動の中にその名残を見ることができます。行政区画としては、1974年にレスターシャーに併合されるという変遷がありましたが、1997年には再び独立したカウンティとしての地位を取り戻しました。

ラトランドの主要産業は現在も農業が中心です。歴史的には、16世紀には羊毛の生産で大いに栄えた記録が残っています。ケトン近くにある石灰岩の採石場も、地域経済にとって重要な存在です。また、ランガム村では、ラトランド・ビターと呼ばれる地域独自のエールが醸造されており、地元の味として親しまれています。

州都オーカムには、ノルマン朝時代の建造物として知られるオーカム城があります。この城は現在も裁判所として使用されており、その歴史的な役割を今日に伝えています。その他にも、ラトランド湖周辺には、バーンズデール・ガーデンズ、リディントン・ビード・ハウス、ノルマントン・ホール、ラトランド・カウンティ博物館、ラトランド鉄道博物館、ステイプルフォード・ミニチュア鉄道、トルソープ・ホールなど、多くの名所・旧跡や観光施設が点在し、訪れる人々に多様な魅力を提供しています。

政治体制においては、ラトランド州議会は15の選挙区から選出された27名の議員で構成されています。国政については、庶民院議員選挙区は時代とともに変遷を遂げてきました。1918年にラトランド選挙区が廃止され、リンカンシャーのスタンフォードを含むラトランド・アンド・スタンフォード選挙区となり、その後1983年にはレスターシャーの一部を編入してラトランド・アンド・メルトン選挙区となりましたが、2023年の定例見直しにより、2024年の総選挙からは再びラトランド・アンド・スタンフォード選挙区として再編されました。2024年の総選挙では、保守党のアリシア・ケアンズ氏がこの選挙区から当選しています。

人口統計を見ると、2021年の国勢調査では人口が41,049人となり、2011年の37,369人から増加傾向にあることが分かります。人口密度は1平方キロメートルあたり108人です。ラトランドはいくつかの興味深い社会統計データでも注目されています。例えば、2006年にはイングランドのカウンティの中で最も高い出生率（2.81）を記録したことが報告されました。また、同時期の調査では、住民がスポーツやフィットネス活動に積極的に取り組む割合がイングランドで6番目に高いことが明らかになっており、人口の27.4パーセントが少なくとも週3回、30分以上の活動を行っています。さらに、2012年には国家統計局により、イギリス本土で「最も幸せなカウンティ」であるとの調査結果が発表されています。これらのデータは、「小さいが中身は多い」というモットーが、豊かな自然や歴史だけでなく、住民の生活の質や幸福度にも通じている可能性を示唆しています。

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