イグアナ下目

イグアナ下目（Iguania）

イグアナ下目は、爬虫綱有鱗目に分類される大きなグループで、トカゲの仲間です。かつてはイグアナ亜目という分類もされていましたが、現在では下目として扱われることが一般的です。日本にはキノボリトカゲが自然分布しており、イグアナ下目の仲間として知られています。

分布

イグアナ下目は、非常に広い範囲に分布しています。具体的には、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸など、多くの大陸に生息しています。また、西インド諸島、インドネシア、ソロモン諸島、日本、パプアニューギニア、フィジー、マダガスカルといった島嶼部にも分布しており、その適応能力の高さが伺えます。

形態

イグアナ下目の形態は非常に多様です。全長200cmにも達するグリーンイグアナから、全長3cmほどの小さなヒメカメレオン属まで、その大きさには大きな幅があります。多くの種は頭部が比較的大きく、背面や尾に鬣状の鱗が発達しているものもいます。また、喉には垂れ下がった皮膚（咽喉垂、デュラップ）を持つ種が多く、特にオスで顕著に見られます。このデュラップは、個体間のコミュニケーションや縄張り争いにおいて重要な役割を果たしています。

生態

イグアナ下目は、森林、砂漠、岩場など、様々な環境に適応して生息しています。彼らは主に昼行性であり、地表や樹上で生活しています。地面に穴を掘って巣穴にする種もいますが、主に地中で生活する種は少ないです。コミュニケーション手段として、デュラップを広げたり、体色を変化させることがあります。食性は属や種によって異なり、昆虫類、両生類、爬虫類、小型哺乳類、草、葉、果実、種子など、多岐にわたる食性を持ちます。繁殖形態も多様で、卵生の種もいれば、卵胎生の種もいます。

下位分類

イグアナ下目は、以下のような分類群に分けられます。

イグアナ下目 Iguania
アクロドンタ上科 (端生歯類) Acrodonta
アガマ科 Agamidae
カメレオン科 Chamaeleonidae
プレウロドンタ上科 (両面歯類) Pleurodonta（旧イグアナ科）
バシリスク科 Corytophanidae
クビワトカゲ科 Crotaphytidae
アノールトカゲ科 Dactyloidae
トゲオトカゲ科 Hoplocercidae
イグアナ科 Iguanidae
ゼンマイトカゲ科 Leiocephalidae
スベイグアナ科 Leiosauridae
スベノドトカゲ科 Liolaemidae
ブキオトカゲ科 Opluridae
ツノトカゲ科 Phrynosomatidae
ハガクレトカゲ科 Polychrotidae
シンネッタイトカゲ科 Tropiduridae



これらの分類は、中井(2024)に従っています。

参考資料

千石正一監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800図鑑』、ピーシーズ、2002年
『小学館の図鑑NEO　両生・はちゅう類』、小学館、2004年
海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド　トカゲ1 アガマ科&イグアナ科』、誠文堂新光社、2004年
マーク・オシー 著、冨水明 和訳監修 『トカゲ大全』, 2021年, MPJ
中井 穂瑞領『ディスカバリー 生き物・再発見 トカゲ大図鑑 イグアナ下目編』、誠文堂新光社、2024年

関連項目

トカゲ

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