イサイアス・アフェウェルキ

イサイアス・アフェウェルキ：エリトリアの初代大統領

イサイアス・アフェウェルキ（1946年2月2日 - ）は、エリトリアの政治家であり、同国の大統領を務めています。彼は民主正義人民戦線（PFDJ）の書記長でもあります。

生い立ちと初期の活動

アスマラで生まれたイサイアスは、エチオピアのハイレ・セラシエ大学（現在のアディスアベバ大学）で工学を学びました。1966年からはエリトリア解放戦線（ELF）に参加し、1967年には中国の南京軍事学院（中国人民解放軍国防大学の前身）に留学。毛沢東思想や軍事知識を学びました。1969年にELF総司令官となりましたが、1973年に分派であるエリトリア解放人民戦線（EPLF、現在のPFDJ）の創設に参加し、1987年3月にはEPLF書記長に就任しました。

エリトリア独立と大統領就任

イサイアスはエリトリア独立戦争を指揮し、1991年にはエチオピアのメンギスツ政権をティグレ人民解放戦線（TPLF）などと連携して打倒しました。1993年6月、独立を果たしたエリトリアの初代大統領に就任しました。

大統領としての統治と批判

大統領就任後、イサイアスはエチオピアのティグレ州に侵攻し、エチオピア・エリトリア国境紛争が勃発しました。国内で紛争の是非や政治姿勢に対する批判が高まると、彼は独裁的な傾向を強め、メディア統制や野党勢力弾圧を行いました。1997年に恒久憲法が制定されたものの、未だに施行されておらず、大統領・議会選挙は事実上無期延期の状態が続いています。PFDJによる一党独裁制が敷かれ、イサイアスは「西欧的な意味での選挙を行なうつもりはない」と公言しています。

イサイアスの統治下で、エリトリアは事実上の独裁国家となり、国民は男女を問わず無期限の徴兵制度や徴農制度などにより、兵役と労役が義務付けられています。これは強制労働とも言え、圧政から逃れるため、毎月多く国民が国外へ脱出を図り、ヨーロッパを目指して地中海を渡る際に遭難する事故が後を絶ちません。外国人記者の入国は制限され、国際的なジャーナリスト保護委員会はエリトリアを「検閲国家ワースト10」の第1位に選びました。また、国境なき記者団による「世界報道自由ランキング」でも最下位にランク付けされています。

エチオピアとの和平

2018年7月9日、イサイアスは首都アスマラにおいて、エチオピアのアビィ・アハメド首相と20年ぶりの首脳会談を行い、長年にわたる戦争状態の終結、経済・外交関係の再開、国境に係る決定の履行を内容とする共同宣言に署名しました。この歴史的和解には、エリトリアのアッサブに初の海外軍事基地を設置したアラブ首長国連邦の関与があったとされ、同年7月24日にはアビー首相とともにUAE最高勲章であるザイード勲章を授与されています。同年9月16日には、サウジアラビアのジッダで和平協定に署名しました。

イサイアス・アフェウェルキの統治は、エリトリアの独立と発展に貢献した一方で、人権問題や報道の自由の欠如など、多くの課題も抱えています。彼の今後の動向は、エリトリアだけでなく、周辺地域にも大きな影響を与えると考えられます。

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