イサーク・ドゥナエフスキー

イサーク・オシポヴィチ・ドゥナエフスキーの生涯と業績

イサーク・オシポヴィチ・ドゥナエフスキー（1900年1月30日 - 1955年7月25日）は、ウクライナ出身で、ソビエト連邦の著名な作曲家および指揮者として知られています。特に、オペレッタや映画音楽といった「軽音楽」の分野で、多くの作品を残しました。彼の音楽は聴き手を惹きつけるメロディーと、ジャズの要素を融合したスタイルであり、ソ連で初めてジャズを取り入れた作曲家の一人としても評価されています。

幼少期と教育

ドゥナエフスキーはポルタヴァ州ロフビツァのユダヤ人家庭に生まれました。父親は銀行員で、母親は主婦でした。幼いころから音楽に関心を示し、8歳からバイオリンのレッスンを開始しました。1910年に家族がハリコフに移住すると、彼はハリコフ音楽学校でヴァイオリンを学び、後にハリコフ音楽院に進学しました。音楽院では、彼は名教師コンスタンチン・ゴルスキー、ジョゼフ・アクロン、セミョン・ボガティリョフから学び、1919年に卒業しました。

音楽キャリアのスタート

卒業後、ドゥナエフスキーはハリコフ演劇劇場に参加し、ヴァイオリン奏者や伴奏者として活動を始めました。ほどなくして指揮も始め、劇場の音楽部門の責任者となり、演劇のための新作音楽を手掛けるようになりました。彼の名前はさまざまな公演で知られるようになり、モスクワへも進出しました。

モスクワでの活動

1924年、ドゥナエフスキーはモスクワに移住し、エルミタージュ劇場の音楽監督を務めることになります。その後、モスクワ風刺劇場やモスクワ・オペレッタ劇場の音楽部門の責任者に就任しました。また、1937年から1941年までレニングラード作曲家連合の代表として活動し、1943年以降は軍や傷病兵士、兵器工場への慰問公演を行い、戦争の混乱の中で創作を続けました。

戦後の創作と評価

第二次世界大戦後、スターリン時代の厳しい創作環境においても、ドゥナエフスキーは一流の作曲家としての地位を確立しました。全ソ連外国文化交流協会やソ連ラジオ委員会の重要なポジションに就任しつつ、数々の作品を生み出しました。彼のオペレッタや映画音楽は特に評価され、1936年にはロシア・ソビエト社会主義共和国名誉芸術家や労働赤旗勲章を受賞しました。また、1941年のスターリン賞も受けており、映画『サーカス』や『ヴォルガ・ヴォルガ』の音楽で高い評価を得ました。

主な作品

ドゥナエフスキーは、14のオペレッタ、3つのバレエ、3つのカンタータ、80の合唱曲、80の歌曲、88の劇音楽、42の映画音楽など、多岐にわたる作曲を手がけました。特に代表作としては、オペレッタ『黄金の谷』（1937年）、『自由の風』（1947年）、『祖国の歌』（1936年）、『クバンのコサック』（1949年）が挙げられます。

家族

家庭面では、ドゥナエフスキーは三度結婚しており、最初の妻は学生、二番目の妻はバレリーナでした。三番目の妻とは事実婚の関係で、モスクワ・オペレッタ劇場のバレリーナでした。彼には音楽家としての道を歩んだ二人の弟がいて、セミョンは指揮者、ジノヴィーは作曲家です。彼の息子であるマクシムも映画やポピュラーミュージックの作曲家として活躍中です。

最後の日々と遺産

1955年、ドゥナエフスキーは心臓発作によりモスクワで亡くなりました。彼の業績は音楽史において重要な位置を占めており、その墓はノヴォデヴィチ墓地にあります。文化と音楽の発展に多大な貢献を果たした彼の作品は、今も多くの人々に親しまれています。

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