イシナギ科

イシナギ科 (Polyprionidae)

イシナギ科は、スズキ目スズキ亜目に属する魚類の分類群です。この科には、オオクチイシナギやコクチイシナギなど、2つの属と4つの種が含まれています。

分布と生態

イシナギ科の魚はすべて海水魚で、太平洋、大西洋、インド洋の沿岸から沖合にかけて広く分布しています。若い魚は浅い海で成長しますが、成長するにつれてより深い海へと移動し、成魚は水深200m以深の深海で生活することが多いです。海底付近で生活する底生魚であり、岩礁域を主な生息場所としています。日本近海からは、イシナギ属の2種が確認されています。

形態

体型は紡錘形で、非常に大きく成長することで知られており、最大で全長2.5mに達します。鰓蓋骨の背側には水平な棚状の構造があり、その先端には短い1本のトゲがあるのが大きな特徴です。

背鰭は11-12本の棘条と、11-12本の軟条で構成されています。科名（模式属名）はギリシア語の「poly（多くの）」と「prion（のこぎり）」に由来し、これは強靭でよく目立つ背鰭の棘条を指しています。側線はよく発達しており、途切れることなく連続しています。

分類

イシナギ科には、Nelson（2016）の分類体系において、以下の2属4種が認められています。

イシナギ属 Stereolepis
オオクチイシナギ Stereolepis doederleini
コクチイシナギ Stereolepis gigas
Polyprion 属
アルゼンチンオオハタ Polyprion americanus
ミナミオオスズキ Polyprion oxygeneios

スズキ亜目内でのイシナギ科の位置づけは、まだ確定していません。以前はカワリハナダイ科やハタ科と近縁であると考えられ、鰓蓋骨のトゲの数などで区別されていました。しかし近年では、ヤセムツ科およびスズキ科（スズキ属 Lateolabrax のみ）との関連が示唆されています。特にスズキ科は、予備的な分子系統解析において、イシナギ科に組み込まれる可能性が指摘されています。

参考文献

Joseph S. Nelson, Terry C. Grande, Mark V.H. Wilson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2016年 ISBN 978-1-118-34233-6
Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
中坊徹次編 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 東海大学出版会 2013年 ISBN 978-4-486-01804-9

外部リンク

FishBase - イシナギ科 （英語）

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