イシュトヴァーン5世 (ハンガリー王)

イシュトヴァーン5世の生涯

イシュトヴァーン5世（ハンガリー語: V. István）は、1239年にハンガリー王ベーラ4世の長子として誕生しました。彼の母はニカイア帝国の皇帝テオドロス1世ラスカリスの娘、ラスカリス・マーリアです。幼少期に彼は自国を脅かすモンゴル軍による侵攻を経験し、1241年のモヒの戦いでの敗北に伴い家族と共にダルマチアに避難しました。モンゴル軍が撤退した後、彼はハンガリーに戻り、1246年にはクロアチア、スラヴォニア、ダルマチアの統治を任されます。

幼年期からの成長

イシュトヴァーンの父、ベーラ4世は国内の大貴族に対抗するため、異教徒のクマン人との関係を強化しました。1253年にはイシュトヴァーンとクマン人の族長の娘エルジェーベトとの婚姻が成立し、彼の地位はますます強固なものとなります。一方で、1257年には父に対して領地の分割を要求し、反抗的な姿勢を見せました。

イシュトヴァーンはスティリア公としても活動し、反乱を鎮圧する一方、支配地域の確保に努力しました。彼はベーラと共同でブルガリアへの攻撃も行うなど、王としての資質を示しましたが、父との関係は複雑で、特に政治的な緊張が生じていました。1258年には、ベーラからトランシルヴァニアの統治権を譲渡されるものの、内内での対立は続きました。

王位継承と治世

イシュトヴァーンは1270年に父ベーラ4世が亡くなると王位を継承します。戴冠式を迎える前にエステルゴム大司教に権限を与え、国の統治に着手しますが、彼の治世も内政問題や外部からの干渉に悩まされました。特にローマ教皇の影響は強く、国内の大貴族との対立も続きました。

また、イシュトヴァーンはボヘミア王国との協力を模索し、義弟との共同攻撃を企図します。しかし、小さな衝突が続き、1271年にはラーバ河の戦いでボヘミア軍に対して決定的な勝利を収めるも、緊張は解消されませんでした。

最後の日々

1272年、イシュトヴァーンは王子ラースローの誘拐事件に直面しますが、その最中、急死してしまいます。彼の死後、家族は困難な状況に置かれ、国内外の情勢も不安定化します。イシュトヴァーンの統治は短いものでしたが、彼の存命中における様々な試みや闘争は、ハンガリーの歴史において重要な一ページを飾ります。

家族と後世への影響

1253年にクマン人の娘エルジェーベトと結婚したイシュトヴァーンは、6人の子供を儲けました。彼らの中には後の政治に影響を与えた者もおり、家族のつながりが国政にも大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。特に娘たちは外国の王族と結婚し、さらなる連携を図ることで、イシュトヴァーンの家系は国際的にも影響力を持つ存在となりました。

このように、イシュトヴァーン5世はハンガリー王国の歴史の中で重要な位置を占める人物であり、その生涯は多くの困難と挑戦に満ちていました。

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