イジュームの集団墓地

2022年9月15日、ウクライナ軍によって解放された東部ハルキウ州イジュームで、ロシア軍占領下で発生した集団墓地が発見されました。複数の墓地が存在し、少なくとも440人以上の遺体が埋葬されていたと報じられています。

ロシア軍撤退後、現場の写真や映像から、虐殺が行われた可能性が明らかになりました。木々の間に、粗末な木製の十字架が立てられた数百の墓が並び、その多くには人数のみが記されていました。しかし、大きな墓の一つには、少なくとも17人のウクライナ兵士が埋葬されていることを示す標識がありました。

死因は銃撃や砲撃によるものに加え、医療不足による死亡も確認されています。ハルキウ州知事は、発見された遺体の中に6歳の子どもが含まれており、首にロープが巻かれていたり、後ろ手に縛られていたりするなど、「99％」の遺体に拷問や処刑といった暴力的な死の痕跡があったと発表しました。

生存者の証言によると、ロシア軍は特定の個人を標的にしており、軍に所属していた地元住民や軍人の家族、ドンバス戦争に参戦した退役軍人のリストを保持していたとされています。これらの証言は、無差別の攻撃ではなく、意図的な標的選択が行われていた可能性を示唆しています。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この事態をブチャの虐殺になぞらえ、法医学的な調査を開始しました。国際連合も調査員を派遣する予定であることを明らかにしています。

さらに、9月16日には、ゼレンスキー大統領がアメリカ合衆国に対し、ロシアを「テロ支援国家」に指定するよう改めて求めました。また、ウクライナ大統領府長官は、駐ウクライナ欧米諸国大使との会合で、戦争犯罪として裁くための特別法廷の設置を訴えました。

イジュームの集団墓地の発見は、ロシア軍による占領下で起こった残虐行為を明らかにするものであり、国際社会は人道的な危機に対して迅速な対応が求められています。犠牲者の真相究明と責任追及のため、徹底的な調査と国際的な協力が不可欠です。

この事件は、戦争における人道法の重大な違反であり、国際社会全体が注視し、責任を追及していく必要があります。イジュームの集団墓地は、戦争の悲惨さを象徴する出来事として、歴史に刻まれるでしょう。

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