イスラマバード・マリオット・ホテル爆破テロ事件

イスラマバード・マリオット・ホテル爆破事件

概要

2008年9月20日、パキスタンの首都イスラマバードにある高級ホテル「イスラマバード・マリオット・ホテル」で、恐ろしい爆破テロが発生しました。この事件では、258室を備える5階建てのホテルのゲート前で、爆薬を搭載したトラックが爆発しました。犠牲者は少なくとも54人に上り、さらに266人が負傷しました。この爆発の影響で、ホテル敷地には直径20メートル、深さ6メートルの巨大なクレーターが形成されました。

多くの死傷者はパキスタン人でしたが、外国人も含まれており、少なくとも5人の外国人が命を落とし、15人が負傷しました。興味深いことに、事件発生はパキスタンのザルダリ大統領が就任後初の議会演説を行った数時間後のことでした。

マリオット・ホテルは、政府機関や大使館が集まる中心地に位置しており、国際的な要人や地域の上流階級が利用する施設として知られていました。このため、テロリストにとっては格好の標的とされており、実際、前年度には別の自爆テロも発生していました。ホテルは2008年12月28日に営業を再開しました。

事件の詳細

警察の調査によれば、爆発により天然ガスが漏れ、これが引火して火災が発生したとのことです。爆発音は15キロメートル先まで響いたとされ、火は瞬時に建物全体に広がり、ホテルの約3分の2が損傷しました。また、爆風によってフロントデスクは完全に破壊される事態に至りました。

このホテルのオーナーであるHashoo Groupの代表、Saddaruddin Hashwaniは、一連の流れを次のように語っています。「爆薬を載せたトラックがホテルの柵に激突し、大きな音がした。その後、犯人が銃を発砲し、警備員たちは応戦を試みましたが、残念ながら、現場にいた警備員たちは全員が犠牲になりました。」

アメリカ合衆国の軍人2名やデンマーク人の諜報員1名が死亡し、またアメリカ国務省の職員も行方不明となっています。さらに、チェコの大使Ivo Zdarekとその友人であるベトナム人女性も爆発に巻き込まれて命を失いました。Zdarekは最初の爆発を受けて避難していましたが、救助活動のためにホテルに戻る決意を固めた結果、火災に遭遇してしまったのです。

その他にも、ドイツ人6名、イギリス人4名、並びにフィリピン人のフロント係が負傷しました。

背景

事件の発生時、パキスタンの高官たちがホテルに滞在する予定だったと言われています。しかし、直前に計画が変更され、大統領の議会演説が終了した後、彼らは首相官邸での夕食会に参加することとなり、ホテルには向かいませんでした。首相官邸はホテルから数百メートルの距離に位置していました。内務大臣のRehman Malikは、国民議会の議長がこの会合のためにホテルを予約していたと述べていますが、ホテル所有者のHashwaniはその事実を否定し、このような予約が一切存在しなかったことを強調しました。

さらにRehman Malikは、大統領とユースフ・ラザー・ギーラーニー首相が共にこのテロを非難し、テロ撲滅への強い意志を示したと言及しました。彼はこの事件を「パキスタンの9・11」と表現しています。

使用された爆薬

調査によると、テロリストたちはトリメチレントリニトロアミン（RDX）とトリニトロトルエン（TNT）を使用しました。これらの爆薬は混合され、さらに爆発力を高めるためにモルタルや弾薬、アルミニウム粉が加えられたと考えられています。使用されたRDXは約600キログラム（1300ポンド）とされており、爆発は数キロメートルから十数キロメートルの距離で聞こえたとの報告もあります。また、最初の小規模な爆発の後に大きな爆発が発生したことから、遅延爆弾の可能性も指摘されています。

この悲劇的な出来事は、パキスタン国内外におけるテロの脅威を浮き彫りにし、大規模な安全対策の見直しを促すこととなりました。

もう一度検索