イスラマバード

イスラマバードは、パキスタンの首都として知られ、南アジアにおける重要な都市の一つです。都市の名前は「イスラームの都市」を意味し、その歴史と文化が深く根付いています。

歴史

イスラマバードは、マルガラ丘陵の麓、ポトワール高原に位置しています。この地域は、石器時代から人が住んでいた痕跡があり、インダス文明の周辺地域として、またアーリア人が最初に足を踏み入れた場所の一つとしても知られています。歴史的には、アレクサンドロス大王からチンギス・ハン、ティムールといった多くの軍勢が、インド亜大陸への侵攻の際にこの地を通りました。

現在のイスラマバードは、かつてサイドプルと呼ばれた小さな町が元になっています。サイドプルは、約500年前のバーブルの治世下でマルガラ丘陵の斜面に作られました。1849年、イギリスがシク教徒からこの地を奪い、兵舎を建設しました。1947年にパキスタンが独立した後、首都は一時的にカラチに置かれましたが、1959年にアイユーブ・ハーン大統領によって、国土の中央に近いイスラマバードが新たな首都として選定されました。

この決定には、防衛上の理由と、カラチへの一極集中を避ける目的がありました。イスラマバードは、陸軍司令部のあるラーワルピンディーにも近いという地理的利点も持っていました。都市計画は、ギリシャの都市計画家コンスタンティノス・ドキシアディスによって作成され、1961年に開発が開始されました。イスラマバードは、マルガラ丘陵を頂点とする三角形の都市構造を持ち、碁盤目状の街路が特徴的な人工都市です。

2005年のパキスタン地震では、イスラマバードも被害を受けました。また、2008年のデンマーク大使館爆発事件や、イスラマバード・マリオット・ホテル爆破テロ事件などのテロも発生しています。2010年には、郊外でエアブルー202便墜落事故が発生しました。

気候

イスラマバードは、温帯夏雨気候に属しています。夏は5月から7月にかけて非常に暑く湿度が高くなります。その後、9月までモンスーンが続き、夜間には雷雨に見舞われることがあります。冬は10月から3月までで、比較的過ごしやすい気温となり、朝には霧が発生することが多いです。

人口動態

イスラマバードでは、国語であるウルドゥー語と、第二公用語である英語が広く用いられています。パンジャーブ語を母語とする人が多く、次いでパシュトー語を母語とする人がいます。都市人口の多くは流入人口で、特にパンジャーブ州やカイバル・パクトゥンクワ州からの移住者が多いです。宗教構成はイスラム教徒が大多数を占めていますが、キリスト教徒やヒンドゥー教徒も少数ながら存在します。識字率は87%と、パキスタンの都市の中では最も高い水準です。

経済

イスラマバードは、パキスタンの人口の約0.8%を占める一方で、国のGDPの約1%を産出しています。イスラマバード証券取引所は、カラチやラホールに次ぐ規模を誇ります。近年は、国内外のIT関連企業の進出が目覚ましいです。また、パキスタン国際航空やパキスタン国営テレビ、パキスタン電気通信（PTCL）などの本社が置かれています。

交通

2018年5月には、イスラマバード国際空港が開港し、以前のベナジル・ブット国際空港は軍用飛行場となりました。鉄道は、イスラマバード駅（旧マルガラ駅）が主要駅で、カラチ方面への列車が運行されています。

名所

イスラマバード北部には、南アジア最大のモスクであるファイサル・モスクがあります。

姉妹都市

イスラマバードは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

アンカラ（トルコ、1982年）
アンマン（ヨルダン、1989年）
北京（中国、1993年）
ソウル（大韓民国、2008年）
ベオグラード（セルビア、2000年）
マドリード（スペイン、2010年）
* ジャカルタ（インドネシア、2010年）

イスラマバードは、その歴史的背景と近代的な都市計画が融合した魅力的な都市です。

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